81 / 114
第81話
「大丈夫……じゃなさそうだな。 俺ん家来い」
「え……、でも……俺は大丈夫ですよ……?」
「こんなに泣いてるのに大丈夫な訳ないだろ」
縮こまって座っている俺を無理矢理抱いて、そのまま玄関に向かおうとしているので流石に止めた。
成人男性が抱っこされて運ばれるとかナイから!もし近所の人に見られていたら、恥ずかしすぎて俺はもうここに帰ってこられなくなる。
「降ろして!自分で歩きます!」
「俺はこのままでもいいぞ?」
「いやいや!!自分で歩きます!!」
蓮さんはいいかもしれないが、俺は良くない。
残念そうな顔をして俺を降ろす蓮さん。
家あけても大丈夫、だよな……。
しばらく弟は帰ってこないだろうし、もし何か取りに来てもスペアキーを持っているだろうから問題ないと思う。
春樹、制服持って行ってないからたぶん取りに来ると思うんだけど……。教科書も何冊か置いていたし。
再び蓮さんの車に乗り込み、俺が乗り込んだのを確認すると、ゆっくりと走り出した。
「蓮さん……ごめんなさい……。俺に振り回されて嫌ですよね……」
「俺がしたい事をしたまでだ。寧ろもっと頼ってほしいと思ってるぞ」
どうして蓮さんはこんなに優しいのか。
俺の事を甘やかしすぎだ。
その優しさが、今は少し怖い。優しくされると、もっと好きになってしまう。
好きになりすぎると今度は離れられなくなる。ずっと蓮さんと一緒に居たいって思ってしまう。
こんなの俺のワガママで、迷惑なのに……。
ともだちにシェアしよう!