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第81話

「大丈夫……じゃなさそうだな。 俺ん家来い」 「え……、でも……俺は大丈夫ですよ……?」 「こんなに泣いてるのに大丈夫な訳ないだろ」 縮こまって座っている俺を無理矢理抱いて、そのまま玄関に向かおうとしているので流石に止めた。 成人男性が抱っこされて運ばれるとかナイから!もし近所の人に見られていたら、恥ずかしすぎて俺はもうここに帰ってこられなくなる。 「降ろして!自分で歩きます!」 「俺はこのままでもいいぞ?」 「いやいや!!自分で歩きます!!」 蓮さんはいいかもしれないが、俺は良くない。 残念そうな顔をして俺を降ろす蓮さん。 家あけても大丈夫、だよな……。 しばらく弟は帰ってこないだろうし、もし何か取りに来てもスペアキーを持っているだろうから問題ないと思う。 春樹、制服持って行ってないからたぶん取りに来ると思うんだけど……。教科書も何冊か置いていたし。 再び蓮さんの車に乗り込み、俺が乗り込んだのを確認すると、ゆっくりと走り出した。 「蓮さん……ごめんなさい……。俺に振り回されて嫌ですよね……」 「俺がしたい事をしたまでだ。寧ろもっと頼ってほしいと思ってるぞ」 どうして蓮さんはこんなに優しいのか。 俺の事を甘やかしすぎだ。 その優しさが、今は少し怖い。優しくされると、もっと好きになってしまう。 好きになりすぎると今度は離れられなくなる。ずっと蓮さんと一緒に居たいって思ってしまう。 こんなの俺のワガママで、迷惑なのに……。

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