101 / 114
第101話
「蓮さんとエッチがしたかったの!」
素直に理由を話すと、蓮さんに後から抱き締められた。
ギュッときつく抱き締められ、首の後にキスをされる。
「本当に?俺に気を使ったんじゃないのか?」
「蓮さんに?……違うよ、本当に俺がシたかったの。ねぇ、ダメ?我儘聞いてくれないの?」
うるうるとした瞳で見つめると、ピシリと固まる蓮さん。
あれ、固まってる。そうだよな、こんなあざとい方法、可愛い子がやらないと効果はない。
俺は男だし、可愛くない。イタい奴だと思われてたらどうしよう。
実際はその逆で、夏樹のあざとい攻撃をくらった蓮は理性との戦いをしていた。
『ダメだ。怪我をしている夏樹に無理はさせられない』という天使と、『こんな可愛い姿を見せられて我慢出来るわけがない。抱いてしまえ』という悪魔。
蓮は頭を抱えて悩んだ。悩んだ末に出した答えは……。
「えっ、蓮さん?もう上がるの?」
「お前も上がるんだよ」
いきなりザパンと立ち上がり、夏樹の手を引いて脱衣場に出る。
用意してあったタオルである程度水気を取ると、服も着ないまま再び夏樹の手を引いて廊下を歩き寝室のドアを開ける。
「あ……、エッチするの……?」
「エッチは、するけど……しない」
「は……?」
夏樹はその意味が理解できなかったが、施されるままにベッドに寝転んだ。
蓮が出した答えは『エッチな事はするけど、挿入しない』だった。
挿入しなければ夏樹が痛い思いをする事はない。だから、ほかの部分をたっぷり可愛がる。
もちろん蓮も挿入できないのだから、夏樹に自身をたっぷり可愛がってもらうつもりだ。
ニヤリと笑う蓮に、夏樹は頭にハテナマークを浮かべるのであった。
ともだちにシェアしよう!