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第110話

なんで秋山さんと春樹が一緒にいるの? 彼女の所に居るんじゃなかったの? 秋山さんと春樹は何処で出会ったの? 次々と疑問が浮かぶが、数日ぶりに見る弟の姿は変わりなくて安心した。 玄関前で驚いて固まっている夏樹を遮って、蓮が中に入るよう促す。 ここで気付いた。先程、蓮の言っていた「頑張れ」の意味を。蓮は春樹がここに来る事を事前に秋山から知らされていたのだろう。 カクカクとぎこちない歩き方で後を追うように着いていく。 「んじゃ、お前らはこっちで話し合え」 「じゃーね」 あまり入ったことの無い客間に夏樹と春樹を閉じ込めて、話し合いをさせる作戦だ。 万が一の為に、ドアの向こう側には蓮と秋山が待機しているが、これは兄弟の問題なので部外者が聞く話ではないと判断したのだ。 「え、えぇ!」 「……」 いきなり閉じ込められて、久しぶりに会う弟と二人きりになってパニックになっていた。 まだ、何を話せばいいか纏まってないのに!夏樹は焦っているが、弟の春樹は冷静に用意されていた座布団の上に座った。 春樹の方が肝が据わっているんじゃないかと思うほど、堂々としている。 「兄さん……」 「……はい」 次に来る言葉にビクビクと震えて、拳をぎゅっと握りしめる。 「兄さん、ごめんなさい。理由も聞かずに逃げてしまって、兄さんの事傷つけた……」 「え……?」 「だから、本当にごめんなさい」 「春樹……」 春樹はあの日、家を出てしまった事を反省していた。だから、きちんと謝らなければならないと思い、無理を言って秋山に連れて来て貰ったのだ。 すぅー……と深呼吸して、夏樹も深く頭を下げて謝った。 「俺の方こそごめん。こんな、汚い兄で……ごめん……」 「なっ、何言っんの!」 自嘲気味に笑う夏樹が痛々しくて、春樹は咄嗟に否定した。

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