2 / 23
トキノネ
カチカチカチ──
俺が設定したアラームが鳴る前に、今日もあいつの時計の音で目が覚めてしまった。仕事のためだ、とは言ったものの、五つも同じものを買うなんてどうかしている。
身体を起こして部屋を見渡すと、あいつは雑然としたデスクで作業をしている。
この調子だと、徹夜していたに違いない。
俺はベッドから出てあいつに声を掛けようと近付いた。しかし、数歩歩いたところであいつは気付いたようだ。
「おや、おはよう」
「……寝てねえだろ」
「うん」
「早く寝ろ」
「この作業が終わったらね」
そう言って再びデスクへ真っ直ぐ向く。そんな態度に少々苛立ち、あいつの身体を抱えてベッドへ放る。
「うわっ」
「起こしてやるから寝ろ」
「はーい」
(この話は、2018/7/16開催の第7回Text-Revolutionsで無料配布したポストカードと同じ内容です)
ともだちにシェアしよう!