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こいしたし
一人で買い物をしに出掛けたが、すっかり遅くなってしまった。
一声掛けたが、集中していたようで聞いている様子はなかった。一応書き置きは残していったが、あいつには効果がない。
息を切らしながら帰宅すると、案の定拗ねて横になっていた。
「ただいま……」
反応はない。だが寝ているはずもない。俺は近付いて確認する。
クッションに顔を埋めたままじっとしている。こんな状態は久々だ。
俺は横に座り、そっと長い髪を撫でる。
「必ず帰ってくるから、信じてくれ」
「……ほんと?」
あいつは起き上がり、俺のことをじっと見る。
俺はその視線をしっかりと受け止め、大きく頷く。
「あぁ、ほんとだ」
ぎゅっと抱き締めるその腕を俺はじっと受け止めた。
(この作品は第45回Twitter300字ssの企画に参加した作品です)
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