11 / 23
愛に照らされ
雑多なこの場所にはまるで不釣り合いなほどの快晴。
普段は全て機械任せの洗濯も、たまには太陽の光に任せようかと考えた。
俺はまだ寝ているだろうあいつのところへと向かう。
閉じられたドアを開け、予想通りのその姿を目に入れる。
「おい」
もちろん返事はない。ここまではいつもと同じやり取りだ。
だが今日は、俺はあいつのところへとずかずかと近付いていき、容赦なく身体を揺する。
「洗濯するからとっとと起きろ」
「んー……まだ眠いんだけど……」
「とっとと顔を洗ってこい」
布団を捲り上げ、あいつを強引に覚醒させる。
枕に抱き着いたその姿を晒され、眠そうに目を擦り、ゆっくりと目を開けていく。
「なんで……洗濯で起こすの……?」
「天気がいいからついでに汚いシーツでも洗おうかと思ってな」
「んー……」
無理矢理起こされたのが不満なようで、暗めのトーンで話しながらのそのそとベッドから出ていった。
主のいなくなった場所から、シーツと枕カバーを外し、ついでに部屋のカーテンを開ける。
きらきらと輝く光がこの部屋にも入ってくる。あいつにはまるで似合わないな。
そんなことを思いながら洗濯機の元へと向かい、持っていたものを全てその中に放り込む。
ふと気付くと、あいつの姿が見当たらない。
果たして顔くらいは洗ったのか。
ただそのことだけを考えながら、洗濯が終わるまでの間に家中掃除機を掛ける。
天気もよい、部屋もきれい。清々しい気分だ。
洗い終わった合図が鳴り響く。洗濯機の横においてあるハンガーを取り、一つ一つ留めていく。
全てを終えたところで、濡れたそれらを持って屋上へと向かっていく。
階段だけで上っていくには少々辛いが、これも少しは運動になるだろうと考えると特に何も感じなくなる。
そうして屋上のドアを開ける。
家の中のどこよりも爽やかな陽の光に照らされ、心地よい風が肌を撫でるこの場所に、あいつは仕事道具を持ち出してここにいた。
「何をしてるんだ?」
「顔を洗ってから、ここで仕事してる。いい天気だねー」
「外に出るなんて珍しいこともあるもんだな」
久々に使う物干し竿にハンガーを下げ、俺はあいつに近付いていく。
手が簡単に届く距離まで来たところで、突然あいつの腕が伸びてきて俺を掴んだ。俺はあいつの横に寝転される。
「たまにはさ、ここでゆっくりするのもいいんじゃない。俺が、愛をひたすら綴ってあげるよ」
「別にそれはいい」
本当は嬉しいが、それは俺の心の中に秘めていることにした。
俺たちは二人でその場に横たわった。
(Twitterの創作BLワンライ&ワンドロ!への参加作品です。お題は「洗濯日和」です。)
ともだちにシェアしよう!