13 / 23

旅の果ての場所

 ここが俺の最後の場所。もうこれ以上はどこかへ行くつもりはない。  俺を引き止めてくれたあいつのそばに、いつまでもいる。それが答えだ。  今まで彷徨ってきた場所は、決して思い出したくないような、嫌な記憶でしかない。だが、それがあってこそ俺は出会えたんだ。決して無駄な行為ではなかった。  あいつのそばにいることが、最後の目的地でありますように。 「……うん、素敵だよ」 「誰かさんの影響が強く出た気がするんだが」  なぜあいつの仕事のようなものを書かされたのか。正直恥ずかしい。 「たまには、自分以外の文章を見てみるのも楽しいな。愛を知るというか」 「もういい……。やめてくれ」  言葉がなくとも、示していこう。 (この作品は第56回Twitter300字ssの企画に参加した作品です)

ともだちにシェアしよう!