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目隠し

 目を開けていたはずなのに、俺の視界は突然奪われた。  何事かと気配を探るが、別段何も変わらない。  だが、目元が妙に温かい。  俺はそこへ手を伸ばしてその正体を掴んだ。  すぐに平和な部屋が目の前に広がり、俺よりも細い手がそこにはあった。  あいつが、俺の目を覆っていたようだ。 「そんなに睨まないでよ。怖い怖い」  どうやら俺は睨んでいたようだ。  いつも通りのつもりだったが、あいつにはそう見えていないようだ。  視線を元に戻し、あいつの手を離す。 「あれ、何もないの?」 「別に。だが、俺が何かしているときはやるなよ」 「はーい。分かってるよ」  そう言うと、あいつは部屋へと戻っていった。  何がしたかったのか。 (この作品は第73回Twitter300字ssの企画に参加した作品です)

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