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第23話

「ーーーーーーーっ!!!!」 「響くん... っ、力、抜いて、」 「っあ、は、はあ、... っ」 「そう、上手」 「っ!あああああ!!!」 最初は浅く、そして俺が少しだけ息を整えたらズンと奥まで。 貫いたものが何なのか、理解したのはアキトさんが俺に今まで見たことの無いような欲情した表情を見せた時だった。 色っぽい、なんて表現じゃ足りないくらい、その顔を見ただけで俺までおかしくなっちゃうような、そんな表情。 そして指とは違う熱いモノ。 今、自分のナカに入っているのがアキトさんなんだ、と気付くと、恥ずかしさや恋人に対する罪悪感よりも、何故か『幸福感』で満たされた。 「ちょ... っ、締めないで... っ」 「締めてなんか... っああ!」 聞いたことないアキトさんの辛そうな声と、多分俺のことを気にしてくれてるであろう、ゆっくりとした動き。 その両方がアキトさんを独り占めしているような気持ちにさせて、痛みなんて吹き飛んだ。 それよりももっと気持ちよくなりたい。 もっともっと、俺を欲しがってほしい。 そんな欲が込み上げて口から漏れた。 「も、大丈夫... だから... っ」 「え?」 「動いて、大丈夫... っ、アキトさんの好きに、してくださ... ... っ」 「... っ、知らないよ?煽ったのは響くんだからね?」 余裕の無さそうなアキトさんの声。 そして激しく打ち付けられる腰の動きに変わると、気持ちよさは堪らないものだった。 たまに塞がれる唇、グチュグチュと響く卑猥な音。俺の腹の液体がいつの間にかシャツを脱いでいたアキトさんの腹に付いていることも、生理的な涙が零れていることも、もうなんだっていい。 どうしてこんなことになったのかとか、恋人の存在を気にしなきゃいけないこととか、全部忘れてこの快感に浸りたい。 「っあ、も、イキたいっ、イキたいよ、アキトさん... っ!」 「ん、俺も... ... っ、」 「ひゃあ!あ、ああああっ!!!」 「っ... ... 」 望んだ通り、後孔を突かれたまま下半身を弄られ、俺はアキトさんとほぼ同時にイッた。 頭の中が真っ白になって、弾けるような感覚は、俺が生きてきた中で一番の気持ちよさだった。 肩で息をする俺の額にキスをしたアキトさんは、ゆっくり俺のナカから出た。 ずっと入ってるだなんて有り得ないのに、抜かれるとさっきまでの幸福感が一気に崩れ、現実に引き戻されるような気持ちになってしまう。 「~~~~ッ、ふ、ぇ... ... ッ」 ほんの少し前までの幸福感も気持ちよさも、終わってしまえば全て消える。 それが辛くて、泣いちゃダメなのに堪えきれなくて俺は両腕で顔を隠した。 「響くん?ごめん、痛かったよね、本当にごめん... 」 「違う... っ、痛いんじゃないの... っ、アキトさんは何も悪くないの... っ」 「じゃあどうして泣いてるの?嫌だからじゃないの?」 「嫌じゃない... っ、違うの、アキトさんがいなくなっちゃったから... っでもダメなの、分かってるのに... っ」 「いなくなるって?俺はここにいるよ?」 「違うの... っ、俺のナカから、いなくなっちゃったからぁ、ふぇ... っ」 寂しい、そんな気持ちに近い感情。 それをぶつければ、俺の腕を優しく退けたアキトさんの嬉しそうな顔が見えた。 俺の手の甲にキスをしながら、涙を掬ってくれて、ポンポンと頭を撫でると、 「大丈夫だよ、ゴム変えるだけだから。すぐに響くんのナカに戻るからね。」 と微笑んだ。 その言葉が『まだ終わらない』という意味だと分かると、ドクンと心臓が鳴って全身が期待する。 そもそもいつ着けたのか分からないコンドーム、それを付け替えたアキトさんは舌の交わるキスをしながら再び俺の後孔にそれを当てた。 「まさか、あんな可愛いこと言われるとはなぁ... 」 「ア、キトさん?」 「嬉しすぎて、止められなくなるかも。いい?」 「... ... ... いい、アキトさんの好きなだけ、してほしい... 」 「... はぁ、本当に君は... ... 」 今度は一気にグチュンと貫いたアキトさん。 「あああ!っ、アキトさん... っ!アキトさん!」 「うん、たくさんシてあげる」 「っんん... 、ぁ、あ... !」 アキトさんの熱くて太いモノに突かれながら幸せを感じる俺は、それから何度も何度もイッた。一人でイッたり、アキトさんと同じタイミングだったり、もう今が何時で何度目の絶頂なのかも分からないくらいに。 俺が悩んでたことって何だっけ? そんなことどうでもよくなる程にアキトさんとのエッチは気持ちよかった。 身体だけじゃなくて、気持ちが満たされたんだ。 例えそれが今だけのことであっても、今日この時間だけだったとしてもいい。 ダッチーでも主任でも千裕くんでもない、俺が今独占したいのはアキトさんただ一人。 「アキ... トさ... ... 、離れな... ... で... ... 」 イッたのと同時に霞む視界。 薄れ行く意識の中で、どうか目覚めたとき側に居て、俺から離れないで... そう願い、呟いたような気がした。

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