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「あ、暁斗さん... ?」 「響くんさ、俺に聞きたいことあるんだって?」 「え、ええ... っ?」 「千裕くんに相談してたんでしょ?... 直接俺に聞いてくれたらいいのに。」 ニコニコと笑いながら俺をベッドに押し倒して跨がる暁斗さんは、稀に見る『意地悪モード』に入ったような気がした。 だって話ならソファーでも出来るのに、寝室のベッドの上を選んだ上にこの体勢... おまけに『千裕くんに相談していた』と言われたら、心当たりは一つしかない。 言わないでってお願いしたのに、千裕くんは主任に話したのか... !? そうじゃなきゃこのことを暁斗さんが知ってるはずがない。 そんなことよりどうしよう... 絶対、100%エッチの相談をしたことなんだろうけど... ... それを本人に聞くのが難しいと思ったから相談したのに、直接なんて無理に決まってる。  でもさっき仲直りしたばかりだし、言わないと言わないでまた冷たい暁斗さんに戻ってしまったら... と不安になってしまう。 もう気にしない、そう思ったばかりなのに... 。 「ひーびきくん。」 「っひゃあ!?」 「俺には言えないことなの?」 「ち、ちが... っ!」 ペロリ、と耳朶を舐められると、全身がビクンと跳ねる。 久しぶりに感じた、このエッチな感覚。 ーーーだめだ、やっぱり暁斗さんとしたい。 言わなきゃだめだ... ... ... 「... ひ、引かない...?」 「引かないよ。絶対に。」 「......... 本当?」 「うん。」 「... ... ... ... ... ... 暁斗さんは、俺ともうエッチしたくない... ... ?」 両手で顔を覆いながら、俺はありったけの勇気をかき集めてそう言った。 「俺、変なんだ。暁斗さんとエッチしなくても幸せなのに、何でしてくれないんだろうって... 。俺が下手だったからなのかなとか、興味ないのかな、とか... 。べ、別に興味ないならいいの!だけど... 前は、してくれたから... ... ... 」 そこまで言うと、覆った手を退けられてしまう。 真っ赤な目に真っ赤な顔をした、タコみたいな俺。 そんな俺に暁斗さんはまたキスをしてくれた。 「はぁ... ... ... ほんっと可愛い。」 「え... 」 「俺が興味ない?そんなわけないでしょ。むしろその逆だよ。」 「逆... ?え?それって... 」 「いつも抱きたいと思ってる。抱き潰したい程に、ね。」 暁斗さんが話す合間にするキスは、いつもより熱く感じる。 俺を抱きたいと思ってる、そう言ったのが本当ならどうしてそうしてくれないんだろう? 聞きたいけれど、キスのせいで言葉を発するタイミングが取れない。 「... 俺ね、決めたんだ。響くんを、もう絶対に傷付けないって。響くんが俺のモノになるまでもう手は出さないって。」 「っ、暁斗さんの、モノ... ?」 「そう。... 中途半端にならないように、ちゃんと付き合うまで。だから何もしないようにしてたんだよ。」 「ひゃ、あ、... っでも、今... っ!」 「... うん、今言ってることとやってること、違うよね。でも俺が我慢してたのに他の人に触られてるし、あんな可愛いこと言われちゃったらさ、ちょっとくらいいいかなーって思うんだ」 「んっ、ん、ぁ... 、暁斗さ、ん、」 暁斗さんの手が俺の下半身を触る。 それは千裕くんと違って大きな手で、相手が暁斗さんっていうだけで驚くほどあっさり大きくなってしまう。 でも... 。 暁斗さんの話を聞いて、このまま流されてしまっていいのだろうかと考える。 だって暁斗さんは俺のことを考えて、1ヶ月間我慢してくれてたんでしょ? きっと、その『ちょっとくらい』が続くと俺はもっともっと欲しがるようになる。 だからと言って、『じゃあ告白します』はおかしいし、まだ暁斗さんのことだって少ししか知れていない。 「っ!や、あ... っ!!」 「... 溜まってる?すごいビクビクしてる。これじゃすぐイッちゃうかな?」 「だめ、だめ... っ、暁斗さ... っ、んんっ!」 「何がだめ?気持ちいいでしょ?」 「あっ... 、せっかく、暁斗さんが俺のこと... っ、考えてくれたのに... 、」 「ああ、その事?... もちろん忘れてないよ?」 ズボンの中に手が入り、下着をズラされれば暁斗さんの体温が直に感じて、ますます俺の気持ちは昂る。 暁斗さんの言った通り、『こういうことは付き合ってから』という思いと『ちょっとくらいいいじゃないか』という思いはまさに天使と悪魔のように俺の脳内でグルグル回る。 絶えず与えられる下半身への刺激は、初めてエッチしたあの日から一度も欲を吐いていない俺には強すぎて、思考が追い付かない。 「やぁ... っ!だめ、暁斗さんっ、も、イク... っ!!」 「... ... ... うん、わかった。」 「ああっ!?」 「... 俺さ、忘れてないって言ったでしょ... ?」 嘘だ... 嘘だ嘘だ嘘だ。 あと少しでイク、そんなタイミングで暁斗さんの手が俺の下半身をキツく握る。 ... これじゃあ出せない、イけない... ! 「ねぇ響くん。俺ね、もう待てない。好きになって5年、やっと両思いになれたんだ。響くんの気持ちは理解してる。でも、やっぱり俺は響くんを俺だけのモノって言いたい。」 「あ、きと... さん... ?」 「付き合ってから知るんじゃだめ?いつになれば響くんを俺だけのモノって言えるようになる?」 「そ... れは... ... ... 」 「強引でごめん。でも、俺は響くんとちゃんと付き合ってからしたい。... だから、響くんが付き合うって言うまでイカせてあげない。」 「え?」 「ごめんね。」 握った手の力が抜け、今度は上下に擦られる。 そしてイク寸前でまた握られて、手の動きが止まる。 イキたいのにイケない。 苦しくて涙が滲む。  ーーー暁斗さんは本気だった。

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