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クリスマスが終わればあっという間に年の瀬がやってきて、俺は暁斗さんの腕の中で新年を迎えた。 今年もよろしくねって言ったら、これからずっとよろしくねって返事を貰ったのが今年一番の胸キュンだ。 そんな暁斗さんは実家に帰らなきゃ行けなくて、一緒に過ごせるのは2日の午前中まで。 暁斗さんの実家ってことは主任の実家ってことにもなるわけで、俺と千裕くんは暇を持て余していた。 「あーーーー、暇だぁ... ... ... 」 久しぶりに自分のベッドでダラダラと過ごすけど、暁斗さんのベッドに慣れちゃったせいか寝返りを打つ度重壁に身体をぶつけてしまう。 仕事がなけりゃやることもない、特に趣味もない俺は暁斗さんが帰ってくる5日までどうやって時間を潰そうか悩んでいた。 「あ、千裕くんからだっ」 そんな俺のスマホに千裕くんからメッセージが届いた。 遊びのお誘いなら大歓迎!と思いすぐに確認すると、それはURLのみのよく分からない内容。 なんだこりゃ?と思いながらもタップすると、ゲームのサイトページに飛んで、そのページを見た俺の顔は引きつった。 『あなたは誰と恋に落ちる?』 どうやらこれがゲームのキャッチフレーズらしく、キラキラした男の子が何人も描かれたトップ画面は明らかに女性向けだ。 どうしてこんなものを?と、俺はすぐに千裕くんに電話をした。 「もしもし?千裕くん?」 『あけおめ響くんっ!ね、俺の送ったゲームのサイト見た?』 「あけおめ... じゃなくて!見たけどあれ何?」 『俺が今ハマってるゲーム!!女性向けなんだけどマジでオススメなんだよー!友達紹介だとドキドキポイントが貰えるからやるなら俺の紹介で始めて!』 「ドキドキポイント?いや、俺ゲームって興味ないし... 」 『俺もそう思ってた!!だけどぜーったいハマるから!騙されたと思ってインストールしてみて!!』 ... いやいや、絶対無いだろ... 。 通話を終えてから俺は再びあの画面を見る。  ゲーム製作に携わってるのに、わざわざ他社の、しかも明らかにターゲット違いの俺がこんなのをインストールするなんて... ... 。 あり得ない、やっぱり無理だ。 っていうか千裕くんもなんでこんなゲームを... ? ページの下の方を見ると、登場キャラクターやストーリーの簡単なあらすじ紹介があった。 えーっと、お隣に引っ越してきたのはイケメンでエッチな男の子... 永遠の愛を手に入れろ... ???... ああ、なるほどね。引っ越してきた男の子キャラと恋愛するってやつか。 この手のゲームは途中から課金があるんだっけ。絶対やらないっつーの! 「... ... ん?んんん???」 ゲームをバカにするように鼻で笑った俺だけど、男の子のキャラクター紹介を見て目が止まる。 黒髪にメガネ、優しく微笑むそのキャラは驚くほどに暁斗さんにそっくりだった。 名前こそ違ったけれど、その容姿は暁斗さんそのもの。 そしてその下には主任によく似た意地悪い顔で笑うキャラクターがいて、どうして千裕くんがハマっているのか、その理由がハッキリ分かった。 「... ... 暇だし、時間潰すため、だからなっ」 引っ越してくるキャラクターはプレイヤーが好きなキャラクターを最初に選択できる、ときたらちょっと興味が沸いてきた俺は、誰に言う訳でもなくそう呟いてゲームをインストールしたんだけど... ... ... 「うぎゃーーー!かっこいい!かっこいいよ誠さぁぁぁあん!!!!!」 インストールから数時間、スマホを充電器に繋げ画面の中で微笑む暁斗さん似のキャラクター、その名も『藤堂 誠』に見事にハマってしまった。 主人公は女の子で名前は自由に決められたんだけど、特に思い付く名前が無かったから自分の名前の響をそのまま入力したのが間違いだった。 暁斗さんそっくりの『誠さん』が引っ越してきて、イベントが発生する度画面の中で『響』って呼ばれちゃうんだもん。 暁斗さんは俺を『響くん』って呼んでくれるから、この呼び捨てが新鮮でキュンキュンしてしまう。 しゃべり方も見た目と違って割りと俺様口調っていうのが更に良い。 暁斗さんに会えなくて寂しい気持ちを埋めるかのように、俺は画面の中の『誠さん』に夢中になった。

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