77 / 170

4-5

ーーーーーーー ーーーー 「へぇ、これが... ?」 「うん。あ、ほら、この角度、暁斗さんそっくり!」 「自分じゃよく分かんないけど... 響くんはこれが俺と重なったんだね?」 「... ... うん。ごめんね、暁斗さん... 。」 暁斗さんが俺のナカに出したあと、絶妙なタイミングで世話焼き主任から電話があった。 俺がこうなったのと同じように、俺よりゲームにハマった千裕くんは主任にバレて、お仕置き中... 多分エッチの最中に、 『響もやってたりする?』 ってわざわざ暁斗さんに報告してきたんだ。 そのお陰で俺は暁斗さんに事情を説明する時間が出来て、浮気じゃないって分かってもらえた。 「いいよ。それより俺の方が... ... ... ごめんね」 「暁斗さんは悪くないよ... ?」 「あーいや、その... ... 中出ししちゃったから。出したけど響くんが体調崩さないか心配で... 」 「だ、大丈夫... ... だと、思う... 」 和解したあと、暁斗さんは中出ししたことをめちゃくちゃ謝ってくれた。 一緒にお風呂場に行って、すっごい恥ずかしいけど暁斗さんに掻き出してもらったんだけど... なんていうかもう、勃っちゃうんじゃないかってくらいヤバかった。  「俺は、暁斗さんが一番で暁斗さん以外はいらない。... これももう消すから」 「ありがとう。でも消さなくていいよ?もう分かったし、ゲームのキャラクターに嫉妬するとか... ねぇ?大人げなくて恥ずかしい。」 「で、でも!」 「響くんが俺に似たキャラクターだからハマったっていうのは嬉しかったし。あ、でも俺のこと放置するのはやめてね?」 「そんなことしない!絶対!」 「じゃあいいよ」 暁斗さんはいつもと同じ、俺の大好きな顔で笑ってくれた。 こうして俺の『浮気疑惑』は無事解決した。 ... ... ... したんだけど。 「響、それ取って」 「へ!?あ、うん... はいっ」 「ありがと」 その日から、暁斗さんはたまーに俺を『響』と呼ぶようになった。 っていうか、多分ワザとそうして俺の反応を楽しんでるような... そんな感じ。 そして俺は慣れない呼び方にいちいちドキドキして、顔を赤くしてる。 「そうそう、あれからゲームの方はどうなの?」 「え!?あ、うーんと... ... イベント中、かな?」 「イベント?」 「温泉イベントだったっけ... ... あ、これ」 「...熱い温泉、萌える恋... ??」 暁斗さんがやめなくていいって言ったあのゲームは、たまにアプリを開いて進めてたりする。 頻繁に開催されるイベントでポイントを稼いで、誠さんはすっかり洋服持ちになった。 そして今は『温泉』が舞台のイベント真っ最中。浴衣姿の誠さんに発狂しそうになったのは、暁斗さんには内緒だ。 暁斗さんはちょいちょい俺にこうやってゲームのことを聞いてくる。 単に話のネタとして聞いてるのか、それとも興味があるのか分からないけど... その度俺は誠さんを見せてゲームの譲歩具合を報告しているのだ。 「んー、でも温泉いいなぁ... 」 「暁斗さん、好きなの?」 「好きってほどじゃないけど... もう何年も行ってないしね。それに響くんの浴衣姿が見たい。」 「俺の?俺なんか絶対似合わないよ!」 暁斗さんの方が似合います!! そう心の中で呟いて、この話はサラッと終わった。... ... と、思っていたんだけど。 この数日後、ニコニコしながら暁斗さんは俺に『弥生たちと温泉旅行しよう』って言った。 それは暁斗さんと主任の『仕返し』だったんだけど、そのことに気付いたのは温泉旅行の最中だった。

ともだちにシェアしよう!