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イキたい。
もっと触れてほしい。
暁斗さんの体温を直に感じたい。
そう思ってるのに、触って欲しい場所だけズボンと下着が邪魔をする。
暁斗さんは脱がしてくれることもせず、本当にただ手を添えたまま。
「っ、あ、きとさんっ!俺もう無理... っ!」
「じゃあ言って?ちゃんと教えて?」
「やだぁ... っ!そんなの、恥ずかしくて... 」
「恥ずかしくて無理ならしょうがないよね。ずーっとこのまま、だね?」
「やっやだやだぁ!!!イキたいっ!イカせてよぉ... っ!」
「響が教えてくれたらイカせてあげるよ?簡単なことでしょ?」
「っ、」
簡単なことじゃない、だけどどうにかして欲しい。
頭の中で「理性」と「欲求」が天秤にかけられてるような気持ちだ。
襖の向こうでは千裕くんの声がして、きっと主任に気持ちよくしてもらってるんだって分かって、それが羨ましくてしょうがなくて、天秤は「欲求」の方に少しだけ傾く。
「... ... ああもう、そんな泣きそうな顔しないでよ... 」
「だ... だって... っ」
でも言葉に出すのは本当に恥ずかしいんだ。
もし俺が恥を忍んでお願いしたとして、それが暁斗さんの中の正解じゃなかったら?
何度も恥ずかしいことを言わなきゃいけなくなったら?
そう考えてるとじわりと目頭が熱くなり、今度は「理性」の方に天秤は傾く。
「... あきとさんっ、もう許して... っ」
「... だーめ。今日は響がちゃんとお願いするまでこれ以上何もしないよ。」
いつもなら... きっと半泣きの俺が許してって言ったら暁斗さんは意地悪をストップするのに。
なんで?暁斗さんはしたくないの?
俺だけがこんなに欲求に溢れてるの?
そう疑いたくなっていると、
「... ねぇ響、これ、分かる?」
暁斗さんは突然俺の手を掴み、浴衣越しに暁斗さんの下半身に触れさせた。
初めて触る暁斗さんのそこは、俺と同じくらい大きくて熱い。
「俺も早く響と気持ちよくなりたい。」
暁斗さんはワザとらしく耳元でそう囁いた。
俺の苦手な耳元、そして付き合う前から俺が大好きな甘い声で... 。
暁斗さんも俺で興奮してる、そう思うとさっきまでゆらゆらしていた天秤がガクンと「欲求」に傾いた。
俺だけじゃないんだ... 暁斗さんも同じように俺を欲しがってる...
「... ... 暁斗さん... 、服、脱がして... ?」
そう思うと暁斗さんがたまらなく愛しく感じて、俺は三つの『お願い』をした。
一つ目の『お願い』は... 自然と出ていて、暁斗さんは軽く頷くと俺のベルトに手を掛けて、ゆっくりズボンを脱がしてくれた。
「下着は... ?」
「... ... ... 下着も... 」
... 下着を脱がされると、ブルンと俺の下半身が飛び出した。
ずっと下着の中で籠っていた熱が、外気に触れてひんやりするのが気持ちいい。
「あ、暁斗さんも... 脱いで... ?」
これが二つ目の『お願い』。
だって俺だけ脱ぐのは恥ずかしいから... 。
暁斗さんは何も言わずに浴衣の帯を解いて、下着を脱いでくれた。
羽織っただけの浴衣から見えた暁斗さんの下半身も天井を向いていて、ゴクリと生唾を飲んだ。
「... 脱いだよ。それで?響はどうして欲しいの?」
「え... えっと... ... ... っ」
ここまで焦らしに焦らされた身体は、もう限界って悲鳴を上げていた。
『触って』の言葉だけじゃ足りないから、『何処を』触って欲しいのかちゃんと言わなきゃダメ。
「ほら響、早く言って?」
暁斗さんが俺に覆い被さるように体勢を低くすると、俺と暁斗さんのアソコがピトッと触れた。熱くて、ドクドク脈打つのは俺のなのか暁斗さんのなのか分からない。
... その瞬間、『ああ、もうだめだ』って俺は覚悟を決めた。
それが、三つ目の『お願い』。
「お... 俺の... ... お... ちんちんを... さ、わって... ... ... ... くださ... ... っ」
溜まった涙が溢れ落ちてしまうほど恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ない『お願い』。
こんな言葉を口にするなんて、こんな言葉を暁斗さんに言うなんて... ...
だけど、暁斗さんは嬉しそうに笑ってて、これが正解だったんだって思えたらホッとした。
「... かぁわい... よく出来ました... 」
「っあ!ああっ」
「響のおちんちん、いっぱい触ってあげる」
「やだっ、言わないで... っ」
「恥ずかしいの?」
「恥ずかしぃ... ... っ!」
ーー暁斗さんの手が俺を包み上下に動かす、それだけで耐えに耐えた俺の身体は悦んだ。
やっと触って貰えた下半身は、それが大した動きでなくても今の俺には充分すぎるくらいですぐにイキそうになる。
そんな俺に暁斗さんは何処に用意していたのか、コンドームを取り出し俺に着けてくれた。
『一応旅館だからね、飛んだら大変でしょ?』
って、ちゃんと場所を考えて。
それはつまり『イッてもいいよ』って言われてるのと同じで、スピードを増した暁斗さんの手の中で俺はあっという間に果ててしまった。
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