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SS☆肉まんが好き

SS☆『肉まんが好き』 ーーそれは響くんがまだ暁斗さんに片想いをしていた頃のお昼休憩中、久しぶりに利用した会社内の食堂にて。 「ねーねー、響くんの好きな食べ物ってなに??」 「... ... 肉まん。」 「に、肉まん... ... ?」 「... だめ?」 「いっいや!いいと思う!肉まん美味しいよね!!!」 二人でカレーを食べながら、ふと思い付いた質問を聞いた俺は意外な答えに驚いていた。 響くんは少食で、お昼はサンドイッチだけとかまるで女子な一面があることを知っている。 俺が大食いってわけじゃないけど、今食べてるカレーだって普通に完食できるし、なんならデザートのプリンだって追加できるくらいの余裕がある。 でも響くんは半分くらい食べ進めたところでスプーンを置いちゃうんだよな。 ... あ、ほら。今日もやっぱり半分で『ごちそうさま』だ。 そんな響くんの好物は、肉まん。 ... ... いや、美味しいよ?俺も冬はコンビニで肉まん買って食べながら歩いたし! でも好物って言う割りに響くんが食べてるところは一度も見たことがないし、夏場はスーパーのレンジでチンして食べるやつしか売ってないし、もしかしてそれが好きってことなのかな? 「... ... 俺さ、冬はお昼ご飯が肉まんなの。」 「... えーと?」 「コンビニで買えるし、あったかいし。それに安いし美味しいし。」 「そ、そうだね??」 「... でもレンチンの肉まんは嫌いでさ。俺は冬の間しか好物が食べれないんだよ... はぁ... 。」 ... 危ない危ない、チンの肉まんはダメなんだな... それにしてもそんな儚げな顔しなくても... 話題は恋人じゃなくて好物、しかもそれは肉まんだっていうのに。 目の前で遠くを見つめながらため息を吐く響くんは、自覚無しのイケメンだ。 食堂を利用するときは他部署の女子が遠目に見てることに全く気付いていない。 後ろの方で『彼女いるのかなぁ?』ってヒソヒソ言われてることだって、きっと響くんの耳には届いてないんだろうなぁ。 響くんの肌って女子並みの綺麗さで、その顔のパーツはまさに皆が羨むようないい所取り、髪の毛だってクセ一つないし、ちょっと人見知りっぽい素振りもみせるけど仲良くなれば可愛い一面も見れる。 『可愛い』と言われ続ける俺とは違い、『綺麗』って表現が似合う響くんに彼女が居なかったことには驚いたんだっけ。 あ、違う、どうして彼女が居なかったのかって理由に驚いたんだった。 「そ、そういえばさ!最近どうなの?なんか進展あった?」 「え... ?い、いや... 特には。それに俺、片想いでいいし... 」 「えー!?またそれ?なんで両思い目指さないの?」 「... ... だって、無理でしょ。あんなカッコいい人、女の子の方がいいに決まってる... 。」 「分かんないよ?響くんが攻めて攻めて攻めまくったらコロッと落ちるかもしれないじゃん!」 「コロッてって... そんな簡単に行くわけないじゃん... 」 響くんはずっと親友に片想いしてたらしい。 そして今はその恋を諦める方法を教えてくれた『暁斗さん』に恋をしている。 でも響くんは自覚してから諦めモードで全く楽しそうじゃないんだ。 恋愛してるときって、些細なことで喜んだり凹んだり、それこそゲームみたいじゃない? 可能性がゼロに感じられない俺はもっと前向きに考えればいいのにって思うんだ。 「じゃあさ、例えばの話しようよ!」 「例え?」 「そう!んーと... あ、ほら!もし暁斗さんとクリスマスにデートできたら、とか!」 「... 別に、デートじゃなくても顔見れたらそれで幸せ... かな?」 「っ、じゃあ!... ...もしも暁斗さんと付き合えたらコレがしたいーとかは!? 」 「えぇ?それはあり得ないって... ... 」 「だから例えばの話だって!」 少しでも響くんが前向きになればなぁって思った俺の『もしも』の話。 響くんは、うーんってしばらく悩んだあと、また遠くの方を見ながらボソッと答えたんだ。 「... ... ... ... 暁斗さんと、肉まん食べたい... 」 なんじゃそりゃ!!!って思ったんだけど、それがこの先遠くない未来で、まさか俺にも彼氏が出来て実現するだなんて... ... まだこのときの俺たちは知らなかったんだ。 おわり☆ミ

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