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後日談2

「ここを仕切っていた奴が別の仕事で抜けるんだよ。その穴をお前に埋めて欲しい」 「へ、そんな……俺なんかが……」 佐和は焦って何か言おうとしたが、その時、ドアがガチャリと開いた。 「須藤さん、いるー?」 「おお。丁度良かった」 声のした方を見ると、黒いスーツを着たスラリとしたスタイルのボーイッシュな女が入ってきた。 ベリーショートの赤い髪に、茶色い瞳。 はっきりとした二重のきりりとした顔立ちの女だ。歳は二十代半ばの佐和と同じくらいだろう。 「この娼館を仕切っていた涼だ」 「蜂谷涼(はちや りょう)です。あなたが佐和さん?」 「あ、佐和です。どうも」 慌てて佐和は立ち上がり、ぺこりとお辞儀をした。 「香澄がヤバいってすぐ見抜いたぞ」 「へぇ。やるじゃない」 「お前の後釜は佐和に任せる。引き継ぎ頼んだぞ」 「えっ! ちょっと、あの、須藤さん!?」 須藤は立ち上がり、くしゃっと佐和の頭を撫でて、出ていってしまった。 急な展開に唖然としている佐和に、涼が二カッと笑って言った。 「さてと。覚えることが多いよ。佐和さん」 「あ、よろしくお願いします」 涼は仕事内容をざっと説明をした。 このマンションのこと、顧客リストから男娼たちのこと……一日では覚えきれない情報量に佐和の頭はパンク寸前だった。 「あはは。あたしもこの近くに住んでるし、様子を見にくるから。それにあなたひとりじゃないし、大丈夫よ」 他にも用心棒や世話係として、組の人間が数名いた。だが、佐和の立場は彼らの上になるのだ。 ある意味、大出世だが、佐和は戸惑っていた。

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