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第5話

目が覚めると体は綺麗になっていた。 多分諒がしてくれたのかなと思うと少しだけ嬉しく思えた。 すると、合田君が妬ましそうに入ってきた。 「お前はずるいオメガだ‼」 合田君は少し泣いているような顔でそう言った。 「僕は、一度も抱いてもらえなかったのに、お前はッ!」 と合田君は僕を突き飛ばした。 僕はとっさにお腹をかばった。 合田君は「あの時、別れろって無駄だって言ったのに…。へぇもしかしてお腹の中に赤ちゃんがいるの?」「…。」 「お前なんかが、佐々城家の子どもを産むなんて許せないんだよ‼」 合田君は怖い顔で僕を殴った。 それでも必死にお腹をかばった。 「お前はただの性欲処理なんだよ。お前に価値などない。」と耳元で冷たく言った。 「智里様‼何をなさってるんです⁉」 と村元と呼ばれていた、男が入ってきた。 「諒様に許されていない部屋は入ってはいけません‼」「諒のお父様は許してくれた‼」と叫んで、部屋から出ていった。 村元さんは僕に近づいて「申し訳ございませんでした。」と膝をついて謝ってきた。 「いえいえ‼…僕はただの性欲処理なんです。 諒を裏切った罰なんですから。」 「いいえ‼決してそのようなことは…。」 「僕は最低なオメガなんです。 …実はあの日 いじめられててその時にいじめてた子が体のデカイ先輩を連れてきたんです。それでそのままレイプを…。」 村元さんは悲しそうに僕を見ていた。 「汚されてしまった僕は諒に会うこともできず、そんなときに合田君に出会いました。 合田君は諒と婚約したのだ と。前々から諒のお父さんに言われてたんです。別れろって。 お前の他にあいつに合う人がもういるのだと。 それを知った僕は余計につらくなって…。 いっそ消えてしまいたいと。」 「命様…。」 「つらいけど会いたくなかったけど、今僕のお腹の中に諒との赤ちゃんがいるのだと思うと嬉しくて。グスッ。」涙が溢れてきた。 「おつらいことを私に言ってくださりありがとうございます。」と部屋から出ようとした。 「あとひとつ。諒様は命様のことを愛しておられます。」と言うと部屋から出た。 入れ替わりでメイドが入ってきて、触診をした。とくに異常はなく赤ちゃんも無事だった。 とても安心した。

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