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第4話

初めてお仕置きをされてから半年くらい経つと、みんなと遊ぶためじゃなく、ご褒美をもらいたくてお屋敷に通うようになっていた。 年が上の子達は学校が遅いから遊ぶ人数も減ったし、同じ年の子たちが集まっても勉強をすることが多くなって、本当は全く楽しくなかったんだ。 でもみんなと遊ばないと、あの人からお仕置きやご褒美がもらえない。 僕はみんなと遊ばず、あの人に会ってもらうためにはどうすればいいのか一生懸命考えた。 勉強をしている中、僕が抜け出したって誰も気にしない。 重厚な書斎のドアをノックする。 机に向かっていたあの人は、すぐに僕を中へ入れてくれた。 そして、みんなと遊ぶのは退屈だから、何かお手伝いできることがないかとたずねてみた。 とってもいい案だと思ったのに、あの人は困ったように微笑むだけだ。 「今は外国語を勉強中なんだ。手伝ってもらえるようなことはないからみんなと遊んでおいで」 それでもしつこくお願いしたら、ため息をついて、帰りにちゃんとご褒美をあげるからまたおいでと言われてしまった。 「ご褒美が欲しいんじゃないの。バートさまのお役にたちたいんだ」 面倒に思われているのはわかってたけど、それでも食い下がった。 「じゃあ、今日は僕がニールにご褒美をもらおう。だから、またあとで来てくれるかい?」 「……はい!」 バートさまに僕がご褒美をあげる……。 とっても素敵なことだ。 嬉しくて、ワクワクした。 僕はみんなのとこに戻っても勉強なんか手につかなくて、外に出て一人歩いた。 石を蹴って追いかけるだけですごく楽しい。 チラリと書斎の窓を見ると、またワクワクした。 「随分楽しそうだね。何か良いことでもあったの?」 息抜きで出てきたソニーが声をかけて来た。 ソニーはバートさまの甥だ。みんなに愛されている。 僕もソニーが大好きだ。 けど、たまに素直になれずにひどいことを言ってしまう。 二人は僕なんかよりずっと仲がいい。 そんなソニーに『僕がバートさまにご褒美をあげるんだ』と教えたら、どんな顔をするだろう。 彼に羨ましがられるのは、何より気分がいいはずだ。 けど、内緒だ。 あの人と僕の間に秘密があるっていうのも、すごく気分がいい事だから。 ずっとずっと内緒にして、いつか『実はバートさまに、とても親しくしていただいてるんだよ』と教えて驚く顔を見てみたい。 「この後、とってもとってもいい事があるんだ。でも内緒。ソニーには教えてあげない!」 「そっか、残念だな」 その言葉がすごく嬉しかった。 僕は夕方、鼻高々な気分であの人のお部屋に向かった。

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