8 / 24

第8話

「え?…財布は大丈夫だけど」 一応確認してみるが無事のようだ。 「マジで?毎日暑いから犯罪者もあんまうろついてないのか」 「うろついてんのお前くらいだろ」 「んだと、俺が見つけなきゃ夜中まで寝 てた可能性あるだろ?感謝しろよな」 「はいはい、ありがとうござましたー」 「チッ、気持ち全然こもってねーじゃねぇか」 言い返しながらも、これだけ悪態つけるなら大丈夫そうだなと内心安心する。 「帰らないとなぁ…」 けどまずい、夜の薬飲む時間過ぎてる… 薬切れの状態で自宅まで歩いて帰れるか…発作も起きやすいし… でも、このままここに居たら本当に動けなくなりそうだから… 調子はあまり良くないものの、なんとか歩けそうなので、これ以上具合悪くなる前に帰ろうと思い動き出すアキラ。 ゆっくり立ち上がり… 「帰る気になったのか?」 「ん、起こしてくれてサンキュー帰るわオレ」 そうお礼を言いつつ歩き出すアキラだが、一歩目からフラついて歩行は安定してない様子。 「って、まだふらふらしてるだろ、あぶねーな」 アキラの腕を掴んで支えながら… 「平気、歩くのに集中すればまだ歩けるから」 とりあえず帰らないと、時間が経てば疲労で今度は帰ることもできなくなりそうだから… ヨシの手を振りほどいて歩き出すアキラ。 ようやく歩いているようなアキラ、歩行スピードは遅い。 「待てよ」 「……」 「おい」 窺いながらあとを付いて行き呼ぶが… 「っもう、歩くのに集中してんだから話しかけるなよ」 一旦止まってヨシに怒りながら言い返すアキラ。 「んな状態で無理して歩くなよ、転けるぞ」 「仕方ないだろ、帰らなきゃならないんだから」 外で発作でも起きたら面倒だし、動けるうちに帰りたい…

ともだちにシェアしよう!