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第8話
「え?…財布は大丈夫だけど」
一応確認してみるが無事のようだ。
「マジで?毎日暑いから犯罪者もあんまうろついてないのか」
「うろついてんのお前くらいだろ」
「んだと、俺が見つけなきゃ夜中まで寝
てた可能性あるだろ?感謝しろよな」
「はいはい、ありがとうござましたー」
「チッ、気持ち全然こもってねーじゃねぇか」
言い返しながらも、これだけ悪態つけるなら大丈夫そうだなと内心安心する。
「帰らないとなぁ…」
けどまずい、夜の薬飲む時間過ぎてる…
薬切れの状態で自宅まで歩いて帰れるか…発作も起きやすいし…
でも、このままここに居たら本当に動けなくなりそうだから…
調子はあまり良くないものの、なんとか歩けそうなので、これ以上具合悪くなる前に帰ろうと思い動き出すアキラ。
ゆっくり立ち上がり…
「帰る気になったのか?」
「ん、起こしてくれてサンキュー帰るわオレ」
そうお礼を言いつつ歩き出すアキラだが、一歩目からフラついて歩行は安定してない様子。
「って、まだふらふらしてるだろ、あぶねーな」
アキラの腕を掴んで支えながら…
「平気、歩くのに集中すればまだ歩けるから」
とりあえず帰らないと、時間が経てば疲労で今度は帰ることもできなくなりそうだから…
ヨシの手を振りほどいて歩き出すアキラ。
ようやく歩いているようなアキラ、歩行スピードは遅い。
「待てよ」
「……」
「おい」
窺いながらあとを付いて行き呼ぶが…
「っもう、歩くのに集中してんだから話しかけるなよ」
一旦止まってヨシに怒りながら言い返すアキラ。
「んな状態で無理して歩くなよ、転けるぞ」
「仕方ないだろ、帰らなきゃならないんだから」
外で発作でも起きたら面倒だし、動けるうちに帰りたい…
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