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第12話
「…ダメだな、熱があるかも…ちょっと待てよ」
もはやアキラの言葉は信じられないので、
うつらうつらするアキラの額に手をあててみると、熱っぽい感じがする。
色々な可能性を考えつつ、キッチンで残りのスポーツドリンクに氷を入れて冷やして持ってきてアキラの額に充てる。
「おい、目を開けろって、とりあえず水分摂れよ」
冷感で目を覚まさせて促す。
「ん、冷たい…」
「ほら、自分で飲めよ」
ソファに横になるアキラを片腕で少し頭を起こしながら、冷えたスポーツドリンクを手渡す。
「ん、…あー、くそっ」
それを数口飲んで、アキラはイラっと言葉を出す。
「突然何だよ?」
ソファに横にしてやりながら首を傾げる。
「お前に手間かけさせてる自分にイラつく…」
「は?」
「もう、カレーだけ食って帰ってくれたらいいから」
「お前な、んなことできる訳ねぇだろ、んな死にそうなツラしといて、このまま放置してお前に死なれたら後味悪いどころじゃねーし、礼する気ならちゃんと食事のセッティングまでしてくれるのがフツーだろ、とりあえずマトモに歩けるようになるまで大人しくしてろ!」
「……死にはしないって、こういうことたまにあるし、時間経てば動けるようになるハズだから」
「マジか…お前いつか死ぬんじゃね?」
「人はいつか死ぬだろ…」
朦朧としながらも返事を返すアキラ。
「そういう意味じゃ…まあそれはいいから薬はどこにあるんだよ、飲むんだろ?」
普通に喋れたら元気という定説はアキラには通用しないことがわかったから、薬のありかを聞いて早く飲ませようと動く。
「キッチンの右側の戸棚の中…薬のケースがあるから」
自分の状態も状態なので、頼りたくはないけれど、これ以上の悪化を食い止める為に薬を飲むことを優先させヨシに伝える。
「キッチンの戸棚だな、ちょっと待ってろ」
「………」
「これか、」
指示された場所から薬のケースらしいものを見つけて、水を一杯汲んでアキラのもとへ戻るヨシ。
「おい、これでいいのか?おい!」
「……」
戻って呼びかけると、再びアキラは眠っていた。
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