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第16話
「うるせ、お前とは身体の作りが違うんだよ」
「つか、本当に食わねーのか?」
スプーンを置いて食べようとしないアキラにもう一度きく。
「ん、」
「なら食ってやるから皿出せよ」
「はい、つか、良く食えるなそんなに」
まだたくさんカレーの残る皿をヨシに手渡す。
ヨシの分はすでに食べ終わった様子。
「お前が食わな過ぎだろ、ほら、とりあえずラストひと口は食え!」
アキラが使っていたスプーンにカレーを一口分すくい、そうすすめてくる。
「え、なんで」
「おめー絶対栄養足りてねーからな、こっちの唐揚げかカレーひと口か選べよ早く!」
断るアキラになんとか食べさせようと二択をつきつけ急かす。
「…じゃ、カレー…」
渋々答える。
「ほら、なら食え」
カレーの乗ったスプーンをアキラの口元に差し出し食べさせようとする。
「自分で食うって」
スプーンを受け取りツンと言い返す。
「ふん、じゃ、仕切り直しで、いただきまーす」
「ほんっとよく食うな…底無しかよ」
アキラはなんとか一口のノルマをクリアして…
残した一皿分を勢いよく食べ始めるヨシに呆れ呟く。
「残飯無くなって助かるだろ?」
「まあ、それはそうだけど、」
「つかさ、この時間から帰るのだりーから泊めてくんね?」
「……わかった」
本当は嫌だったが、迷惑をかけてしまったので借りを返すつもりで頷く。
「うっしゃ、ラッキー」
「一階にゲストルームあるからそこ使えよ」
「マジで!?さすが金持ちの家だよなー」
嫌味を言ってみるが…
「しばらく使ってないから埃かぶってるかもだけど」
来客なんか殆ど来ないし、しばらく開かずの間だ。
「えー、」
そんな場所ではあまり寝たくない。
「ソファでもいいけど、好きな方選べよ」
「お前んち、誰も帰ってこないんだよな」
「来ないけど」
「ならここでいいわ、とりあえず寝所あればいいし」
ソファを指して言う。
「好きにしろよ、風呂は?」
「入りてーけど、」
「もう今日は沸かすの面倒だからシャワーでいい?」
「おう」
「廊下出て右奥風呂場だから、」
「お前は?」
「オレは上のシャワー浴びるから」
「上?」
「オレの部屋三階にあって、三階にシャワーならあるから」
幼い頃から、1人だけ家族から隔離されていた部屋…。
他の住人と顔を合わせなくても、生活のだいたいのことは三階でこと足りるようになっている。
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