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第22話

「庭広いな〜散歩いらなくね?」 玄関前の庭はテニスコート3面分ほどはありそうな広い庭、綺麗に芝が敷いてある。 「この広さがあるから散歩いけない時でも助かってるけど、行ける時は行きたいし」 「って犬小屋これじゃねえのか?」 大きな檻のような犬小屋があるが、そこに犬はいない様子。 「これは前の犬小屋」 「前の?」 「こっち」 庭の一番端まで来て指差す。 「え?これ?ってプレハブ小屋!?これが犬小屋?」 犬小屋というよりは犬家だ。 「ずっと外に出しておくのが可哀想だったから、BOUSで稼いだ金でオレが建てた」 「マジかー、」 「冷暖房完備、1人の時はよくここで犬たちと過ごしてる」 六畳くらいのプレハブ小屋だが犬2匹には充分な広さだ。 簡易机とソファがある。 アキラは犬たちに優しく声かけて散歩に行くためにリードへ繋ぐ。 「こんなん造るより、自宅に連れて入れればいいんじゃね?」 「……言ってもあの家は、オレのものじゃないし、弟の母親が犬苦手だから、連れて入れないんだ」 「ふーん、けど庭に小屋勝手に造って怒られなかったのか?」 「たぶん気づいてないと思う、親父は帰ってくることないし、弟の母親も別にマンション買ってそっち住んでるから、気付くのはオレも犬たちもいなくなってからだと思う」 その時になったら適当に処分されるだろうし…いくら自分に所有権がなくても、生きてる間くらい好きにしたっていいだろうという考えで… 「まあこの家はほぼ弟のものだから、弟には言ってるし大丈夫」 「弟のものって?いなくなるってなんだよ?」 疑問がいくつか湧いてくるが… 「いつかは家出ようと思ってるだけ、」 高校卒業したら、ここを出るつもりではいる。 この家にオレが居ること、親父も、弟の母親もよく思っていないのは分かっているから… 「は?こんな豪邸あるのになんで出るんだよ」 またまた疑問に思いきくヨシだが… 「いいから、行こ」 それをはぐらかし、アキラは散歩へ出かける。 来た時と同じ裏門から出て公園を目指す2人。

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