22 / 24
第22話
「庭広いな〜散歩いらなくね?」
玄関前の庭はテニスコート3面分ほどはありそうな広い庭、綺麗に芝が敷いてある。
「この広さがあるから散歩いけない時でも助かってるけど、行ける時は行きたいし」
「って犬小屋これじゃねえのか?」
大きな檻のような犬小屋があるが、そこに犬はいない様子。
「これは前の犬小屋」
「前の?」
「こっち」
庭の一番端まで来て指差す。
「え?これ?ってプレハブ小屋!?これが犬小屋?」
犬小屋というよりは犬家だ。
「ずっと外に出しておくのが可哀想だったから、BOUSで稼いだ金でオレが建てた」
「マジかー、」
「冷暖房完備、1人の時はよくここで犬たちと過ごしてる」
六畳くらいのプレハブ小屋だが犬2匹には充分な広さだ。
簡易机とソファがある。
アキラは犬たちに優しく声かけて散歩に行くためにリードへ繋ぐ。
「こんなん造るより、自宅に連れて入れればいいんじゃね?」
「……言ってもあの家は、オレのものじゃないし、弟の母親が犬苦手だから、連れて入れないんだ」
「ふーん、けど庭に小屋勝手に造って怒られなかったのか?」
「たぶん気づいてないと思う、親父は帰ってくることないし、弟の母親も別にマンション買ってそっち住んでるから、気付くのはオレも犬たちもいなくなってからだと思う」
その時になったら適当に処分されるだろうし…いくら自分に所有権がなくても、生きてる間くらい好きにしたっていいだろうという考えで…
「まあこの家はほぼ弟のものだから、弟には言ってるし大丈夫」
「弟のものって?いなくなるってなんだよ?」
疑問がいくつか湧いてくるが…
「いつかは家出ようと思ってるだけ、」
高校卒業したら、ここを出るつもりではいる。
この家にオレが居ること、親父も、弟の母親もよく思っていないのは分かっているから…
「は?こんな豪邸あるのになんで出るんだよ」
またまた疑問に思いきくヨシだが…
「いいから、行こ」
それをはぐらかし、アキラは散歩へ出かける。
来た時と同じ裏門から出て公園を目指す2人。
ともだちにシェアしよう!