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第7話
レイチェルちゃんは客がいない時、メイクや爪の手入れをしている。
しかも俺がいてもお構いなしで!…気を許してくれてるって事だよね!たまに空気のように扱われるけど…
実際に会話をするのは初めてでドキドキする。
ゲームの中だとあんなに喋れたのに…
まぁ学生の時も女子と話す事なんて連絡事項だけだったからな。
…そう思うとなんか切ないぜ…
「お、おはよう!」
「いらっしゃいませ、今日はどれにします?」
レイチェルちゃんは爪磨きを止めてマニュアル対応をしてきた。
くっ…好感度15%はあるから友達くらいになってるんじゃないの!?
しかしそのスマイル0円笑顔はとても眩しかった。
カウンター席に座り、太陽の紅茶を頼む。
…別に戦闘帰りじゃないからHP回復の飲み物を飲みにきたんじゃないが、さすがに何も頼まないのはレイチェルちゃんに悪いし…
俺はレイチェルちゃんに一生懸命可愛いリボンでラッピングしたプレゼントを渡した。
「レイチェルちゃん、これ…いつもの感謝のプレゼント」
「ありがとう」
さすがに実際は心の声は聞こえないが、売る事を考えてなけりゃいいなと思う…考えてるんだろうけど…
太陽の紅茶はアップルティーの味がした、見た目も赤くて似てる。
レイチェルちゃんはプレゼントを後ろの棚に置き素敵な笑顔で振り返った。
胸元まで伸びるフワフワの赤髪が美しい…
そして谷間が直視出来なくて赤くなり下を向く。
童貞丸出しで恥ずかしいが、幸せで頬が緩む。
「ついでに魚肉バター炒め食べてく?」
「食べる食べる!」
プレゼントを渡し、余計なものまで注文させられた気がするが…それでいいんだ。
だってこんな事じゃないとレイチェルちゃんの手料理が食べられないんだもん!
お腹も心も満たされたところで酒場を後にした。
本物のレイチェルちゃんはゲームの何倍も可愛かったなぁー…皆美人だって言うが俺は可愛いと思う!うん!
このまま帰ると師匠のお説教タイムだろうし、イベントに向けて装備でも買おうかな?
とりあえず質屋に向かった。
俺はネコ型ロボットのポケットみたいにいろいろ入ってるフードからいらないアイテムを売る。
Nランクのプレゼントとかいらないし、売っても大したお金にならないがちょっとマシだろう。
焦げた炭や製作失敗した鉄の塊はお金にもならないからゴミ箱のようにゼロの影にぽいぽい投げる。
すると影は口になり食べ始めた。
怖っ!怖っ!
俺の影を舐めるのやめろっ!!
なんか変な感じがゾワッとして、急いで質屋を出た。
いつか俺の影が食われそうで怖いっ…
道具屋に向かい、防寒ブーツや一週間の非常食…回復アイテムなどを買った。
よし、これで準備万端だ。
帰ろうと魔法陣を出そうとすると、派手な格好の三人組が目に入った。
あれはプレイヤー専用の服を着てるからプレイヤーだろうな。
…でも多分異世界トリップしたのは俺だけの気がするから誰かが動かしているわけではないんだろう。
金髪に茶髪に赤髪、見事にカラフルだな。
ニヤニヤしながら話している。
まぁ、俺には関係ないけどな。
「なぁ、本当にやるのか?」
「当たり前だろ!何のためにこの武器を作ったと思ってんだ!」
「あのゼロの敗北した顔カメラに写してやんよ」
なるほど、ゼロを倒す奴らか…
まぁ頑張れー…誰にも倒せないと思うが…
そこでリーダーのような金髪の剣士の服装を見た。
確かアレ、レベル100になったらもらえる黄金の甲冑服じゃなかったか?
同じギルドの剣士の友人と「強いけどダサいから装備したくねぇ!」と笑ってたっけ。
実際見ると太陽の光で目がやられるほどに眩しくて迷惑な服だなと思っていた。
…そりゃあゼロに挑むぐらいだし100くらいないと無理だろうな。
もしかしてアイツらゼロを倒し隊ギルド?
なんか秘策があるみたいだし、ゼロも多分同じレベルだろうし…ちょっと心配になってきた…いや、本当にちょっとだよ!?
知ってる奴がやられたら目覚めが悪いだけだし!
しかし影は欠伸をしていた、なんか気が抜けるなぁ…
「あれ?ゼロのお嫁さん?」
「違います」
条件反射で声がした方を振り向き、否定すると笑われた。
あの人は確かゼロの部屋に来た…同僚?
なんかキャラクターでチラッと見た事あるような気がするが、正直興味がなくて名前は忘れた。
まぁ第一印象で呼べばいいか。
人懐っこい男は非番なのか私服だった。
しかし何故俺がゼロの嫁になったのか小一時間問いたい。
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