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「よぉ!ご機嫌だな!わが社のジャニーズ、天海千暁くん!」 会社のコピー室で資料をまとめていたら上司の蜷川が陽気に声をかけてきた。 色黒で恰幅のよい豪快な男だ。 「お疲れ様です蜷川さん……その呼び方、なんとかなりませんか?」 「ピッタリだろ?てか最近楽しそうじゃない?彼女でもできた?」 「え?…………」 そう問われて、慎司の顔が浮かぶ。 色んな所に連れ出してくれて、羽振りは良く、送迎までしてくれる。 愚痴を聴いてくれたり、困った時には相談にも乗ってくれる上に、 こちらの辛辣な軽口も笑って受け止めてくれる器の大きい、彼。 ――まるで出来た彼氏みたいだ 「……何、その意味深な沈黙!? やっぱり彼女いるのかー。 お前、それ黙っとけよ。 お前目当ての女子社員たちのモチベーションが下がるからな。 彼女らが辞めたら、採用担当のオレの評価が下がる」 「はぁ……そういえば、聞きたいことがあるんですけど」 「なんだ?」 「言いにくいんですけど……僕“顔採用"だって噂が流れてて……本当ですか?」 面接の際、面接官の一人だった蜷川に問う。 同期は皆高学歴で、平凡な自分が入社できたことが不思議だった。 入社してから“社長に気に入られた顔だけ男"と影で言われていることを知った。 「おいおい、誰が言ったか知らんが、そんなのは嫉妬だ。 見た目も良くて仕事もできる、その上無愛想ときたら悪口の格好の的だぜ? ……もう少し愛想がよければなぁ」 「じゃあ、顔採用じゃないんですね。よかった」 「おう!お前の採用理由はもっと酷いぞ!」 「え?」 「社長の鶴の一声よ!履歴書見ながら“名前が俺の家族と一緒だから採用!"ってな」 「えー……」

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