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激しい行為で疲れ、眠ってしまった千暁が目を覚ますと、車はすでに自宅の近くを走っていた。
足下を見ると、どこから落ちたのか写真が一枚。
千暁が拾うより先に慎司がさっと取り上げ、その後は何も口にしなかった。
一瞬見えたのは髪が長い女性の姿で、
千暁の思い出の中の母親と重なって見えた。
先程までの微睡みの中、慎司がうわ言のように言った言葉があった。
君の過去を教えてもらったから、俺の過去を教えてあげる、と。
『俺はね、車で人の命を奪ったことがあるんだ』
有耶無耶になってしまったその言葉。
慎司さんが殺したのは、誰?
僕の母さんを轢いた人は、どんな顔だっけ?
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