13 / 18

13

激しい行為で疲れ、眠ってしまった千暁が目を覚ますと、車はすでに自宅の近くを走っていた。 足下を見ると、どこから落ちたのか写真が一枚。 千暁が拾うより先に慎司がさっと取り上げ、その後は何も口にしなかった。 一瞬見えたのは髪が長い女性の姿で、 千暁の思い出の中の母親と重なって見えた。 先程までの微睡みの中、慎司がうわ言のように言った言葉があった。 君の過去を教えてもらったから、俺の過去を教えてあげる、と。 『俺はね、車で人の命を奪ったことがあるんだ』 有耶無耶になってしまったその言葉。 慎司さんが殺したのは、誰? 僕の母さんを轢いた人は、どんな顔だっけ?

ともだちにシェアしよう!