6 / 33

第6話  文:水尾伊吹

 俺は一瞬声を失った。伊吹とのセックスをみたいだなんてどんな心境だ。  俺は海乃の真意を測りかねてじっと彼女の瞳をみつめた。  彼女はそんな俺の表情を読み取ってか勝ち誇ったような顔をしている。  悪い女だ。お前ってやつは。付き合ってた頃はそうでもなかったのに。  いつの間にそんなことに興味を持つほど成長したのか。  だが考えてもみろ、俺が伊吹のことに興味がなかったって言やあうそになる。  いや幼い頃から俺はずっと伊吹を見てた。  そしてそこにある感情があるということに気が付いたのは最近のことだ。  それで海乃を抱いていても何か欲求が満たされないのを感じていたんだ。  俺が伊吹を抱く。あの笑顔が飛びぬけて可愛いやつを俺が抱く。  おれは心臓の鼓動が早くなるのを感じた。  だが伊吹はどう思ってるのか。俺は自信がなかった。  俺はおずおずと伊吹の肩を抱いた。 「なあ伊吹。お前は俺とセックスしたいか」

ともだちにシェアしよう!