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第9話  文:めろんぱん

「うわー!すごーい!」  部屋に入るなり声をあげたのは、海乃だった。  外観を裏切らない内装だ。  天井にぶら下がる派手なシャンデリアを始め、偽物だろうがよく出来ている煌びやかな調度品の数々。豪華な花なんかも飾られていて、まるで気分は本当に王族だ。俺は素直に感嘆の溜息を零した。  そしてやはり目を引くのは、その中でも圧倒的な存在感を放つ、ベッド。  俺はそれを見て、ゴクリと生唾を飲み込んだ。  これからここで、伊吹を…そう考えると、自然と頭の中で卑猥な妄想をしてしまう。  どんな顔をするのだろう。  どんな声で喘ぐのだろう。  イキ顔は最高に可愛いに違いない。  もんもんと広がっていく妄想を振り払うべく、俺は一つ深呼吸した。  みっともない所は絶対に見せられない。冷静を装わなければ。 「じゃ…とりあえずシャワー浴びてくるから。」  俺はさっさと鞄を置くと、まだ部屋の中でキャッキャと喜んでいる海乃と、それに付き合う伊吹を置いて脱衣所に逃げ込んだ。  バクバクと心臓が高鳴っている。  無駄に広い風呂場は一体なにを想定しているのか。またピンク色の妄想が広がりそうになり、慌てて服を脱ぎ始める。  そして下着に手をかけた時、脱衣所の扉が開かれた。  驚いて振り返った俺の目に飛び込んで来たのは、いつも通りへにゃっとした可愛らしい笑顔を浮かべた、伊吹だった。

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