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第12話  文:春日すもも

「や、やめ……あっ…」  口では抵抗しているくせに、愛撫を続ける伊吹の手には抗えずにいる。  同じ男だからだろうか。こう触られたら、気持ちがいいというツボを、伊吹はちゃんと心得ていて、恥ずかしいのに、嫌なのに、身を委ね始めている自分がいる。 「ねぇ、碧都は海乃を抱いたの?」 「は、はぁ!?」  当然、付き合っていたのだから、そういう関係には至っている。海乃は俺の、はじめての相手だ。  なんとなく返事をしないでいると、伊吹は碧都の耳で甘く囁いた。 「ねぇ、これから碧都に抱かれた海乃に、今度は碧都がかわいい声で啼くところを聞かれちゃうんだよ」 「や……やめろ」 「海乃に、バレちゃうよ? へぇー、碧都はこーんないやらしい声出すんだーってね」  そんな恥ずかしいことは絶対阻止しなければと、碧都は、より一層強く、唇を噛み締める。 「そうそう。そうやって、声を我慢しなきゃね」  伊吹は声を圧し殺している碧都の耳に、吐息まじりの声で囁き続ける。  そのあいだにも、伊吹の手の動きは止めることなく、ずっと先端を弄られ続けている。声を出すまいと、必死で我慢しているというのに、碧都の先端はさきほどからとめどなく、先走りの液をしたたらせていて、口から漏れる吐息と、くちゃくちゃと卑猥な水音が脱衣所に響き渡る。

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