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第14話 文:はち須哉太
どんどん伊吹の手は速くなり、グチュグチュという濡れた音と俺の喘ぎ声がバスルームに木霊する。
「やっ、んぁっ、やだ、やめっ、ぁっ…いぶ、きぃっ」
自分の喘ぎ声が耳に入ってきて羞恥心に苛まれる。
しかも男に、よりにもよって伊吹の手によってイカされそうになっているのだ。
力の入らない手で俺のを握っている伊吹の手首を掴んだ。
「どうしたの?」
どうしたのって…分かってるくせに…こいつ…!
すっとぼける伊吹に苛立ち、涙の溢れる瞳で睨みつける。
だが、伊吹はにっこり笑みを浮かべている。
「そんな顔で睨んでも全然怖くないよ? 可愛い。それより手どけて?」
「も、やめ、ろよぉ…」
涙腺が崩壊してボロボロと涙が溢れてわんわん泣いてしまう。
だが、伊吹は楽しそうにして、俺から溢れた涙をちゅ、ちゅ、と唇で吸い取っていく。
「大丈夫だよ。気持ちよくなるから…」
「そ、そういう、ことじゃ、ない、んだよぉぉ」
「んー?ふふ」
そう笑うと伊吹は空いている手で俺の手を取り、握っている方の手に重ねた。
「こうしたら大丈夫でしょ?」
と手の扱きを再開させてしまった。
先程手を止めてしまって焦らされていた分、出したいという欲求は膨らんでいてもう抗えない。
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