重ね合わせた手より伝わるふたり分の温もりと俺を包む力。 　溢れるほどに強い快楽はとめどなくて、すぐにでも爆発してしまいそうだ。けれども伊吹の思い通りにはなりたくなくて、流されそうな愛撫の一手に抗ってしまう。 「……ふ、ぅ、っあ……んっ、あっ──」 「んふふ、けっこう抵抗するよね。けどダメだよ碧都、僕に勝てるわけないでしょう。はやく陥落しちゃいなよ」 　くそっ。見事に俺は伊吹に遊ばれているというわけか。しかもこいつはやたら余裕だ、かなり"場馴れ"してやがる。 　しかも伊吹に股間を弄ばれ乱れる俺の様子を、舐めるような海乃の視線をドアを隔てた脱衣室から伝わってきて、なぜか無性に興奮する自分がいた。 　まさか見られることに快感を覚えるタチなのかと不安に駆られるが、けれど焦れた伊吹にラストスパートをかけられ軽く意識が飛ぶ。