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第24話 文:蜜鳥
「ひぅっ、や!…ぁ、ら……ぁあ!…」
喉から空気が漏れたのか、言葉を発したのか、意味のない音が自分の口から零れるのをすでに碧都は聞いていなかった。
肌を打ち付ける音が狭い空間に響き、四方の壁に閉じ込められた空気は密度を増してゆく。
「っは、ははっ…すっげーよ、碧都、やっぱり、お前、最高…っ!」
そこを切っ先が撫でる、いや先端が擦りつけられるたびに、微かに残っていた碧都の矜持は粉砂糖のように脆く溶けて行った。
せめて海乃には聞かれないようにしようと思って押えていた声も、とっくにタガが外れて、口角から垂れる唾液と共に止めどなく流れていた。
「ひ、やぁ!…あっ、あっ…ん……や、だ、こわっ、こわいよ、伊吹、怖い!」
伊吹の昂ぶりが荒々しく肉壁を穿ち続ける。脆弱な身体の内を貪る音が扉越しにもはっきりと伝わってくる。見えない事でむしろ自分がその行為に溶けて混ざったかのように錯覚しつつある海乃が、もう二人を邪魔するつもりはなかった。
支配されてゆく感覚が快楽に繋がった途端、碧都の膝が崩れた。
バスルームの床に這いつくばり、訳が分からないまま無意識に腰を突き上げて、頂点への最後の蹴り上がりを求めた。
そんな姿態に舌なめずりした伊吹も、床に膝をついて碧都の身体を追い、熱い塊を求めるそこに応えてゆく。
「いっ!…あああ、やぁぁぁん!」
一際高い碧都の声が響き渡り、視界も、意識も全てが白く弾けた。
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