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第27話  文:はち須哉太

 でも、なんて答えるのが正解なのだろう。『欲しい』なんて言葉じゃうまく伝わらない気がするがなんて言えばいいのか。  考え始めると思考回路がぐるぐる回る。行為の最中に違う事を考えているのが伊吹には丸わかりで苛ついてくる。 ーーー僕のことを考えて欲しいのに。どうしてうまくいかない?  悔しくて悲しくて、こんなことまでして伝わらないのが情けなくて、泣きそうになる。 「…碧都…好きなんだ…」  その言葉は今にも消えそうで苦しそうで、それまでの伊吹の言動とは思えないほど弱々しかった。 「…ぇ…?」  …今、伊吹、なんて言った…?  碧都は彼の言動に思わず目を見張る。すると突然頬にポタリと冷たい雫が落ちてきた。  その雫の正体はすぐさま理解できた。  伊吹が、泣いていたのだ。 「…好きなんだよ、碧都のこと。…ずっと、前から…」  途切れ途切れに紡がれるその言葉がじんわりと、でも確実に俺の胸に染み込んでくる。 …そう、だったんだ…。知らなかった…。  でも、そう言われると今までのことを思い出されてくる。

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