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第7話

「オレは……生まれて直ぐ、両親に捨てられてンだよ。 物心ついた頃からずっと、児童養護施設って所で育った。……けど、抜けた」 え…… ハイジの思わぬ独白に、一瞬息を飲む。 自分と似たような境遇に、不思議と親近感が湧いてしまう。 「だから、甘ちゃんが嫌ぇっつーか。……苦手なんだよ」 「……」 「この手には、色んな強ぇ恨みが染み付いてンだろうな。カッとなると、歯止めが効かねぇ。 さっきお前の首を絞めた時、マジで一瞬……殺すかと思った」 少しだけ震える声。 思い詰めた様子のハイジが、軽く広げた両手のひらに視線を落とす。 『……全部、あんたのせいよ!!』『あんたが死ねば良かったのにっ、!!』──脳裏に蘇る、鬼のような形相の母。幼い僕の首に両手を掛け、咽び泣きながらその手に力を籠める。 もしあの時──母の望み通り僕が死んでいたら。 母の胎内に宿って直ぐ、流産していたら。 そしたら、少しは違っていたのかな── 「で、どうすんだよ。これから──」 「……」 「帰るなら、送ってってやるぜ」 すっかり帰り支度を済ませたハイジが、意を決したように握り締めた拳をポケットに仕舞う。 返事のない僕の方へと振り向き、切れ長の綺麗な眼で僕を視る。 「それとも。……うち、来るか?」

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