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第5話
翌日の放課後。天気は快晴、雲ひとつない穏やかな春の日差しが降り注いでいる。風が吹けば少し肌寒いかな?と思う程度だ。
部長に言われたように一応ブランケットを入れた小さな手提げとともに僕は旧温室への道を歩いていた。
「持ってきたけど寒くなるかなあ…」
ちらりと手提げの中身を見て昨日のことを思い出す。
部室を出たあとはあのまま寮へ帰って準備をしようと物を取り出していたら個室から出てきた同室者に不思議がられた。僕も彼もあまり寒がりな方ではないからだろう。理由を言うのと一緒に部長のことも言ったらあの人も相変わらずやな〜と呆れた声を出していた。
そんな取り留めもないことを考えながら旧温室へと繋がっている近道付近までやってきた。
部長は校舎と正門を繋ぐ真っ直ぐな道の途中にある所から入ると言っていたけど……。
「え?まさかここ?」
目の前に広がるのは木ばかりで旧温室は見えない。踏みならされた獣道のようなそれは確かにあるがあまりにも建物が見えなくて不安になる。ちらっと時計を確認すると戻ってちゃんとした道を行こうにも時間はなさそうだった。
「……迷子にだけはなりませんように」
そう願いながら歩を進めた。
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