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第6話
しばらく、部長が踏みならした目印のようにときどきレンガの置かれた道無き道を真っ直ぐ歩いていく。開けた場所に出るとすぐ目の前には目的地があった。ひとまず安堵の息をもらす。
確かに校舎の特別棟前を通らないといけない普通の道を行くよりは近そうだけど、あの道はどうなんだろう……。というより、よく見つけたなと感心してしまう。
ときおりそよぐ風に揺れて鳴る葉擦れの音と鳥のさえずり以外しない静かな空間。校舎からもかなり離れたところにあるからか人の気配もしない。
部長が入り浸ってしまうのも頷けた。
とりあえず旧温室に入って中をぐるっと見ようと中と外を隔てるドアを開いた。僅かに香る花の匂いに目を細める。
その場できょろきょろと中を見るとイングリッシュガーデンのようになっていた。中心が一段高くなっていて白いガゼボが建っている。舗装された白いレンガ道がそこへ繋がるように敷かれている。水の流れる音も微かに聞こえるからため池でもあるのだろう。
ガゼボを中心として配置されている木々と花々に目を奪われる。木々自体は元々プロの人が配置していただろうが花を育てていたのは部長だからそちらのバランスは部長のセンスがいい証拠だ。
「……綺麗」
思わずするっと言葉がこぼれて、ぽつりと呟いた。
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