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第7話

真っ直ぐにガゼボへ向かう道は通らず、温室をぐるりと一周する形で敷かれた道を時計周りに歩いていく。半周してちょうど入口の反対側までくると小さい小屋があった。 給湯室かな、とそっと扉を開けて覗いてみると食器類と茶葉の入った缶の置かれた棚が見える。冷蔵庫もあり簡易キッチンのようになっていた。ティーカートもあるからお茶会の準備用に元々備え付けられていたんだろう。 「荷物置けるような場所は、……ないね」 まさかティーカートの上に置くわけにもいかないし……となるとガゼボの周りにある休憩スペースの椅子とテーブルかベンチに置くしかないか。 給湯室前から中心の一段高くなっているところへ続くゆるい坂道を行くと、そこは石畳のようになっていて周りに水路が引かれているのが分かる。 ガゼボの設置面だけ地面になっていてそこから濃いピンク色をした花をもつ蔓薔薇が上に伸びていた。惹かれるようにそちらを見て僕は思わず固まってしまう。 「っ……」 見えた人影にでかかった驚きの声をすんでのところで呑み込んだ。ガゼボの中にカウチソファがあったのは入口からも見えていたけれど背を向けていたから気づかなかったのだ。 別に悪いことをした訳でもないのに別の人の存在に早鐘を打つ胸を抑えた。

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