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第9話
降り注ぐ日差しを柔らかく反射するイエローオレンジの真っ直ぐな髪は光の加減でときおり金にも見える。襟足は肩につくくらいの長さでさらりと流れるそれは存外柔らかそうだ。瞼は伏せられていて睫毛が頬に影を落としていた。健康的な色をした肌は特に荒れた様子も見受けられない。すっと通った鼻筋に高い鼻、薄い唇。
寝ていてもひとつひとつのパーツの配置が綺麗なのは分かる。
どのくらい食い入るように見ていたのか分からないが不意に寝ている彼が身じろぎしてはっと我に返った。どきりと鳴る胸に手を当てて抑える。
いくら相手が寝てるからって不躾にじろじろ見すぎだよ僕……。
起こしてしまっただろうかと焦りながらちらりと見る。規則正しく動く胸にほっと息を吐いた。
いい加減お花に水やりをしようとゆっくりガゼボを離れて近くにあったベンチに荷物を置いた。ブレザーも汚れるといけないから軽く畳んでかけておく。
給湯室の横に置かれたキャビネットを開けると一通りの道具は揃っていて、何故か金魚の餌もあった。まだ行ってない池の方に居るのだろうとあたりをつける。できる限り音を立てないように準備して水やりを始めた。
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