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第10話

やはりと言うか給湯室とは反対側の方にあった池には金魚が気持ち良さそうに泳いでいた。さっき見つけた餌をひとつかみして水面にばら撒く。浮かぶ蓮の花と水草を器用に避けてぱくぱくと口を動かしている。光の加減でオレンジにも見える鱗に未だ寝ているであろう彼を思い出す。 同級生…SにもAにも居なかったと思うけど……あの綺麗な髪、染めてるんだよね?……FかEだったらあんまり関わらないしなあ、見たことない顔だったな。 この学校は頭脳、家柄、それと容姿がいいSクラス、成績順にAクラスからEクラスまであり素行の悪い生徒がまとめられたFクラスとに別れている。特待生もSに居る。ちなみに僕はAで従兄弟がSに属しているためなんとなく把握していた。 閉鎖的な空間で男が男に恋をするのも珍しくないし生徒会も人気ランキングのようなもので決まる。 家柄と容姿がものをいう状態で親衛隊なんてものも存在した。だいたいが牽制の意味合いを含めて結成されるが本人の承諾なしでは機能しないらしく拒否もできる。ほとんど拒否する人は居ないらしいが。 過激派だと不用意に親衛対象に近づこうものなら制裁が待っている。 親衛隊が無い方がおかしいような気もするけど、彼が数少ない拒否側の人であることを祈るばかりだった。

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