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第11話

気づくと日はかなり沈んで来ていてぶるりと震える。部長の言う通り確かに寒くなってきた。片付けて帰ろうとベンチの方へ行くとぐっすりと寝ているのが見えて逆に驚いた。 物音もしなかったから当然と言えば当然だけど…まだ寝てた……起こした方が良いのかな。風邪を引いても困るだろうしなあ。 そうは思うもののこれだけ寝入っていると起こすのも忍びなくて悩む。起こしても怒られそうだし、かといってそのままにしておくのも気が引ける。 しばらく考えてから僕はブランケットをとりに荷物の方へ向かった。ついでに鞄からメモ帳とシャーペンを取り出して書き置きしておこうと筆を走らせた。 起こさないようにそっと近寄る。ブランケットをかけるときに見えた左耳につけられた細めのリングピアスと透明な長方形の石がついたピアスがよく似合っていた。また捕らわれそうになる視線を無理矢理動かして直ぐに離れる。 カウチソファのすぐ側にあるローテーブルにメモと文鎮代わりに個包装の飴を1つ置いた。 半分逃げるようにしてその場をあとにした僕は急いで自分の寮部屋へ戻るのだった。

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