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第12話 side.?

ゆっくりとまだ眠さの残る目を開ける。すると飛び込んで来たのは眠りにつく前の快晴の青色ではなく日も完全に沈みかけた夜の色だった。 「……今何時だ?」 ぼんやりとする頭で返事を期待していない疑問が口をついて出てくる。ポケットに突っ込んであるスマホを取ろうとして違和感に気づいた。柔らかい手触りの毛布のようなものがかけられている。 「(まこと)?」 ここの担当のはずのやつの名前を呼んでみたが返ってくるのは静寂だけだ。そもそもあいつなら帰るときに叩き起してくるはずだと思い直す。ひとまず身体を起こして暗闇に慣れてきた目であたりを見回した。 誰も居ねえ……。 ふと、近くのローテーブルに何か置いてあるのが見えて手を伸ばす。紙のようなものを引き抜くと小さい包みがコトリと音を立てて転がった。 月明かりを頼りに紙に目を落とすと綺麗な字で謝られていた。 『起こそうかとも思ったのですが、ずっと気持ち良さそうに寝ていたのでそっとしておきました。風邪を引かれるといけないのでかけさせていただいたブランケットはそのままそこに置いといてくださって構いません。紙が飛ばないように置いた飴は好きにしてください。余計なお世話でしたらすみませんでした。』 丁寧な文章に首を傾げた。もしかしてかなりの時間同じ空間に居たのかと考える。普段の自分を振り返ってますます疑問に思ったがここでこうしていても仕方ない。適当にブランケットをたたんでその場に置いておく。メモと飴は何故か捨てる気にならなくてポケットに突っ込んだ。

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