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第13話 side.柏崎

課題をのんびりこなしている時に手元に置いていたスマホが震えた。耳慣れた着信音に画面を見ると風見賢二(かざみけんじ)の文字が表示されれている。2学年下の幼馴染からの電話だった。あっちからのアプローチは基本無いに等しいから不思議で直ぐに通話ボタンを押した。 「もしもし?珍しいな賢二から電話してくるとか」 「慎」 俺の名前を呼んだ声は本当にただ呼びかけただけのなんの感情も伺えないものだ。怒らせるようなことをしただろうかと一瞬考えただけに拍子抜けで気の抜けた返事になる。 「んー?どした?」 「担当変わったのか」 主語とかもろもろ置き去りにした確信めいた問いかけに思考を巡らせる。答えに行き着くと同時に忘れていたことを思い出した。 「すまん、言うの忘れてた。半年しないうちに部長交代だから後任決めたんだった」 「やっぱりか」 「……そういや、新しい担当と顔合わせたのか?」 微妙に呆れの滲む声で言われて苦笑する。ふと疑問に思って質問するとしばらく無言で返された。沈黙に耐えられなくなった俺が先を促すように名前を呼ぼうと口を開くとようやく返事が返ってきた。 「……俺は顔を見てない。ずっと寝てた。あったのは置き手紙と飴とブランケットだけだ」 賢二の答えに俺は目を瞬かせた。

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