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第18話
向かい合わせに席に着いて手を合わせた僕らは箸を手に取りそれぞれ食事を始めた。目の前の蘇芳くんはお面を少しだけずらすと料理を口へ運ぶ。素顔が気にならないかと言われると答えは否だ。でも本人が見せたくないのなら無理強いするつもりもない。このくらいの距離感がお互いにいいのだと思う。
「それで、真咲ちゃんは部活で何かあったん?」
「ごふっ……けほっ」
「大丈夫か?お茶淹れようか?」
「だ、いじょうぶ……あの、なんで」
「勘」
直球で言い当てられて飲み込もうとしたものが喉につかえる。困惑しながらたどたどしく聞くと短く返された。嘘をつく必要も無いので先程あったことを話すと蘇芳くんはじっとこちらを見てきた、と思う。黙って聞いていた彼はおもむろに口を開く。
「……今日の夕飯はお赤飯の方が良かったな?」
「なんで!?」
大真面目に呟かれてどうしてそうなったのかと叫んだ。大袈裟に肩を竦めてお茶をすする彼を恨みがましげに見つめる。
「そいつの詳細教えてもええねんけど、知りたいん?」
「……あんまり、知りたくない、かな。また会うにしても、必要ない情報だし……会えるかは分からないんだけど!」
「せやろ?まあ……親衛隊は居ないから本人の機嫌損ねなければ大丈夫やろ。真咲ちゃんやし」
「……?うん?」
謎の太鼓判をおされて僕は曖昧に頷いた。
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