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第21話

それから数日経って日課になりつつある放課後の旧温室の植物への水やりに行く前に部室へと寄った。というのもこの前咄嗟に頼んだ球根を受け取りに行くためだった。 もらったときに部長が「それにしてもホットショットか〜綺麗な黄色とオレンジの花弁になるといいな」と至極楽しそうに言ってきてこの人全部分かってるんじゃ……と思ってしまったのは仕方ないことだと思う。 どの鉢へ植えようか考えながら歩く足どりは軽く、初日は長く感じていた道程もあっという間だ。扉を開いてそのまま真っ直ぐ進みガゼボの横を通り抜けようとしたところで寝ている存在に気付き必要以上にびくついた。 数日来なかったから完全に油断してた……。いや、すれ違い……というか避けられてたのかもしれないけど。 ここで彼に会うのは2回目だ。そっとその場を離れようとすると身じろぐ気配にあまり見すぎないようにしていた視線を遠慮がちになげる。心なしかこの前寝ていたときよりも体調が良くなさそうで眉間に軽く皺がよりっぱなしだった。隈も出来てるし顔色が悪い。 寝れてないのかな。 声に出さない疑問に答える人もいなく、どうしたものかと首を傾げる。体調不良のときに身体を冷やすのも良くないし、今日もなんだかんだで持ってきていたブランケットを彼にかける。 無意識で彼の目にかかる前髪を横にながして頭をひと撫ですると寄せられた眉がゆるんでほっとすると同時に我に返った。

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