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第25話
「それで、何があったか僕には教えてくれないの?」
しょんぼりしたように微笑んで先を促す燕くんに僕は口を開いた。
◇
また要らぬお節介を焼いて数日。アドバイスに関しては試していても試していなくても良かったけど体調を崩してないか心配だった。いつものように放課後に行った旧温室で寝ている彼を見つけて、こっそり顔を覗き込むと前より顔色が良くて胸を撫で下ろした。
ローテーブルに置かれた掌に乗るくらいの大きさの缶とその下に置かれた紙に目を数回瞬かせる。それと彼の顔を交互に見てからそっと紙を引き抜いた。
『少しは良くなった、気がする。缶は礼。つか、俺も押し付けられただけで要らねえからやる。紅茶そんな飲まねえし。あと同学年か先輩だろ?敬語やめろ。』
前回よりもゆっくり書いたのか崩れの少ない字を目で追った僕は自然と微笑んでいた。色々と説明を省かれたそれは試したあとの感想で効果があったようで安心する。
というより、もう関わってくるなとか書かれてるなら分かるけど、敬語やめろって事はまだ話す気はあるってことだよね……?
これで拒否の意味入ってたらとんでもなく自意識過剰だと苦笑して、返事を書いてそっと置いた。
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