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第28話 side.風見

手にした紙を見て俺は後ろ頭をかいた。何度読み返したところで内容が変わるはずもなく、そこで問われて気付いたのだ。 そんなに来て……いや、3日も空けずに来てる。 交わした手紙の数を思い出すと最初に比べて旧温室へ訪れるのが増えているのは明白だった。人と関わるなんて煩わしい以外の何でもないのに、この微妙な距離感を手放すのが惜しいと思ってしまっている。知るのは怖い、触れられたくないことに触れてしまったらこの小さいやり取りなんていつでもなかったことにされてしまう。すれ違うことさえ無いかもしれない。質問内容はたいして当たり障りのないものばかりだが、他にも知りたいと思っているのも事実なのだ。 ゆっくり立ち上がって蓮池の方へ向かう。顔を見られているのだし名前だって本当は知ってるかもしれない。少しズルするようだがそこは大目に見てほしい。藤棚の下にある石を見て確認するように呟いた。 「藤代」 だいたいあっちは俺の顔知ってるのに俺は知らないの不公平だろ? 自然に寄ってくる眉間を手で解して、俺はとある決意をした。

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