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第30話

晴れた日の休日の午後、課題と軽食を持って僕は旧温室へ来ていた。休憩してお昼を食べようとノートへ走らせていたペンをとめる。彼がお礼にとくれたダージリンを淹れたカップを傾けた。手を合わせて持ってきたサンドイッチを頬張りながら球根を植えた白い鉢を眺める。 まさか気付かれていると思わなかった鉢植えのことを尋ねられて嬉しいと同時に選んだ理由を考えると恥ずかしくて、微妙な心境になったのは記憶に新しい。選んだ理由も品種も伏せて花の説明だけした手紙は不自然だっただろうか……。正直に話したところで引かれそうだし本当の理由は門外不出を心に決めた。 「ご馳走様でした」 もう一度手を合わせ、軽く伸びをしてからまた残りの課題にとりかかる。差し込む柔らかい日差しとお腹が満たされたことによる眠気にうとうとしてしまう。 課題、あと少しだしちょっとくらい良いかな……。 そう言い訳してテーブルに伏せて重い瞼を閉じる。目と鼻の先にあるカウチソファまで行くのも億劫でそのまま誘われるように思考は闇に溶けた。 ◇ ゆっくり目を開けてハッとして伏せていた身体を起こした。 かなりの時間寝ていた気がする。 時間を確認しようとスマホに手を伸ばすと肩にかかっていたものがずるりと落ちていく感じがする。不思議に思ってそちらを見ると見たことの無いカーディガンがかけられていた。

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