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第44話

結局軽い自己紹介のあとに風見くんと話すことも無くちょうど空いていた四人席に僕らは座った。僕の向かいは五十嵐くんで、その隣が風見くん。注文方法が分からないと言う五十嵐くんに自分でやってみせた。食堂に来たときから遠巻きにざわつく人達の視線に居心地が悪くて動きが鈍る。 「五十嵐くん、カードキーは持って来た?」 「歩!おう、持ってきたぞ」 「あはは……えっと、それをここにかざしてから注文すると自動的にカードから引き落とされるんだ。財布代わりにもなってるから無くさないようにね」 「分かった!やってみる!!」 苦笑を返しながら自分の持っている白いカードキーをおろして機械を渡すと元気よく頷いて首を傾げていた。つられて僕も少しだけ首を傾げて五十嵐くんを見ると手元をじっと見つめられているような気がする。部屋の鍵と財布兼用の学年色のラインが入った白いカードキーは一般生徒用のもので、金色の字で部屋番号と学年クラス、名前が印字されている。 貰ってるなら見てるはずだし、なんで不思議そうなんだろう……? 「真咲のカードって白いんだな!全員色違ったりするのか?」 「え?」 言いながら彼のポケットから取り出された物の色を見て僕はしばし固まった。

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