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第45話
「……く、ろ?」
遠巻きに眺めていた人達の驚愕と嫌悪の罵声を聞きながらようやく出した声はかなり掠れ気味で聞き取りにくいものだった。
「あの黒毬藻ありえないんだけど!なんで生徒会の皆様と同じ扱いなのよ」
「もしかして例の転入生ってあれ?」
「はあ?あれが?編入試験の結果が花月院くんにかなうってわけ?」
飛び交う会話が自然と耳に入ってきてだんだん胃が痛くなってきた。斜め向かいの風見くんをちらりと見ると眉間に皺を寄せて不機嫌をあらわにしている。
「黒がどうしたって言うんだよ!?無視すんなよな!」
「あ、ごめんね……びっくりしちゃって。……カードなんだけど、一般生徒は普通白いカードで黒は生徒会と各委員会の委員長、学年首席に渡されるものなんだ」
「なんの組み分けだよそれ?」
口元を歪めながら聞いてきた五十嵐くんに苦笑を返す。
「簡単に言うとカードキーの役割が違うんだ。生徒会の皆さんが扱う書類とか大事なものが多いから黒い方は特別棟にある部屋で入れる場所が増えるんだよね…首席は手伝いで呼ばれるときもあるからなんだけど」
「ふーん?」
気の抜けた相槌を打った彼は既に興味をなくしたのか話してる間に運ばれてきた料理にスプーンを手に取り向き合った。
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