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第48話 side.風見

寮の共同スペースにあるソファーで浅い眠りにつく中、人が近づく気配に目が覚める。覗き込まれるような動きに目を開けると、そこに居たのは黒いマリモだった。状況を呑みこむまで数秒を要し、舌打ちしたあと思わず手が出てしまう。 「ちっ……お前勝手に人の部屋に入ってくんじゃねえよ!だいたいどうやって入った?」 「うわっあっぶねーな!いきなり殴りかかってくんじゃねえよ!!」 「お前、誰だ?」 力加減をまるでせずに出した拳はやすやすと受け止められ批難の声が上がる。目を見開いて見つめていると盛大にため息を吐かれて止められた拳を離された。 「人に聞く前に自分から名乗れよな!って言いたいとこだけどまあいいや、俺は五十嵐歩。歩って呼べよ!今日からどーしつしゃになったんだ。よろしくな!」 もさい見た目にそぐわない快活な返事と割とある力に少しだけ興味が湧いて、しばらくぽつぽつと話すうちに食堂へ一緒に行くことになっていた。 「あと1人居るけどいいよな!」 只でさえうるさい食堂へ知りもしない奴も交えていくのかと少し気が重くなったが、いざ紹介された人物を見て嫌な気分は全て拭われた。

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