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第53話

食堂から帰ってきて、ようやく部屋に辿り着いた僕は重い身体を引きずって共同スペースのソファーに倒れ込む。うつ伏せで横になってるのも辛くなってきて向きを変えようと左手をついたところで走る鈍痛に思わず呻いた。 「うっ、」 ……結構な力で掴まれてたから痣になってそう。風見くんを本当に連れてきたのも、寮部屋の位置もわりと近いところにあったのも驚いたし…なによりあの騒動は精神的に堪える。また明日って別れ際に言われたからたぶん朝も一緒、か。 寝返りを諦めてしばらくぼんやりしているとドアの開閉する音が小さく聞こえた。 蘇芳くんかな……、寝てないで起きないと。 そうは思ってもなかなか動く気が起きなくて、すぐ側まで来た気配に顔だけそちらに向ける。身を屈めて目線を合わせてくれていたのか案外近い距離に驚いて数度ぱちぱちと瞬きした。 「真咲ちゃんおかえり。食堂、大変やったみたいやね?」 「ただいま……うん、いろいろ予想外の事ばっかり起きて、遠巻きだったけど絶対親衛隊は居たし……明日からが怖い」 「なんかあったらいつでも言うてな?まともに飯食えてないやろ、なんか食べる?」 「ううん、大丈夫。なんかもうお腹いっぱい……また明日って言われたから、しばらくご飯当番お休みするかも」 「そこは気にせんでええよ。ほら、疲れとるなら風呂入ってさっさと寝とき」 ふっと吐息で笑われて頭を撫でられる。心地良さにゆっくり瞼を閉じると起きろと言わんばかりに頬をつつかれた。

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