54 / 66
第54話
けたたましく鳴るベルに慌てて玄関へ向かう朝の6時半。返事をしながら扉を開けると目に飛び込んできたのは物凄く眠そうな顔をした風見くんと再度呼び鈴に手をかけて押すところだった五十嵐くんだった。
「お、はよう?」
「おう、おはよ!朝飯くいに行こーぜ!飯食ったらそのまま職員室まで連れてってくれんだろ?」
当然のように言ってのける五十嵐くんにそんな約束しただろうか、と昨日の事を振り返っても思い当たる節がない。困惑して固まっていると扉を押さえていない左腕をとられそうになってやんわり引いた。浮いた右手をどうしようかさ迷わせた五十嵐くんの肩を欠伸を噛み殺していた風見くんが叩く。
「どっちでもいい、混む前に行くぞ。また昨日みたいなことになりたくないだろ」
「真咲がのろのろしてるから!」
「ご、ごめん」
思わず反射で謝る。腰に手を当ててふんぞり返る五十嵐くんを見て苦笑するしかなかった。
「しょうがねーから許してやるよ。とりあえず早く支度しろよな!」
「でも僕、朝は少し用事があって……」
「んなもん後でいいだろ!?」
内容も知らないのに頭ごなしに拒否されてますます困り果てる。結局昨日の放課後も旧温室に行ってないのにどうしようかと思っていると部屋の中から名前を呼ばれた。
ともだちにシェアしよう!